レポート

バッテリー利用し50%以上の電力料金節約に成功 Part2

2012.06.08

神谷 氏 / 藤沢市在住、日本IBM元社員

 東日本大震災直後の東電による計画停電が終った2011年6月に、同タイトルの投稿をサイエンスポータルに投稿し、7月にその蓄電システムが読売新聞でも全国的に紹介され思わぬ反響をいただいたが、この5月8日夜のフジテレビのニュースジャパンでも電気料金値上げへの対抗策として放映されました。

 そこで、今年5月に設置後ちょうど1年目の節目を迎えたのを契機に、設置以来電力消費量、電気料金節約額への効果、気になるバッテリー寿命の兆候、および昨年10月に追加した2枚の太陽光発電パネルの効果などについてここにまとめて発表させていただきます。

 効果の測定には、蓄電装置稼働以前の1年間と稼働後の1年間のそれぞれの電力使用量、電気料金の合計の比較で行いました。今後、自作なり、製品購入なり、また、自立型なり、太陽光発電パネルとの併用なり、同様な蓄電システムの設置を検討する際の参考データになれば、これに越したことはありません。なお、個人で行った実験ですので、予算上大きな制限があり、電圧などの測定は、市販の簡易ディジタル・テスターで行っており、必ずしも、研究機関などで行う実験のような精度はなく、また、結果の一般性を保証するものでもありません。

1. システムの構成

本蓄電システムの実体接続図
FIG.1 本蓄電システムの実体接続図

 前回のレポート時以来、基本的に格安料金の夜間時間帯(PM10:00-AM8:00)に2個の大型バッテリーの充電を行い、昼間時間帯(AM8:00-PM10:00)にバッテリーからの電力で接続した家電製品を動かすという蓄電装置の基本操作に実質的な変更はありません。しかし、2011年10月から出力180W(ワット)の太陽光発電パネル2枚(合計出力360W)を追加して、昼間時間にもバッテリーの充電が行われるようにし、昼間におけるバッテリーの放電の負担を軽減するとともに、夜間に充電するために必要な電力量を節電することにしました。太陽光発電パネルは、2階のベランダに、丈夫な手すりとアングル材を利用して仰角が30°-45°の間で可変になるように取り付け、太陽の高度によってある程度日光の入射角度を、効率のよい角度に調節できるようにしました。夏至の約78°と冬至の約31°の太陽高度に合わせて、仰角を12°-59°まで可変にできれば理想的ですが、ベランダの奥行寸法上の制限から、30°-45°の間の調節範囲になり、効率は、最適角度時に比べて、夏至時に95%、冬至時に97%程度に下がりますが、我慢できる範囲でしょう。

2. 接続家電製品

本蓄電システムに接続された家電製品類
FIG.2 本蓄電システムに接続された家電製品類

 各製品の消費電力はメーカ発表値を表し、( )内の数字は、簡易電力計を用いた実測値で、それぞれ、使用条件、環境温度、設定条件などによって異なります。以上の製品の消費電力の合計は、最大で約1,512Wになりますが、当然、それらをすべて常時使用している訳ではありませんので、それらを、(1)常時使用しているもの、(2)昼間時間(AM 8:00- PM 10:00)のうち全体の約50%の時間使用、に分類し、上記の表で*を付加して区別しています。なお、実施前と実施後とで、上記使用電気製品のうち、4リットル電気魔法瓶を付加した以外に変化はありません。これを、夜間満杯にして沸騰させ、昼間は98℃に保温しながらお茶やコーヒーなどに使用しております。この時、昼間20Wの消費です。以前はいちいちガスでお湯を沸かしていましたので、ガス代の節約にもつながっていそうです。夏場の特に暑い日は、100V(ボルト)仕様のエアコンも運転できますが、長時間連続運転は厳しいようです。

 電力容量制限以外の問題は、インバータのモード切り替え時の瞬断です。インバータが商用100Vバイパス・モードとバッテリーからの24V直流を100V交流に変えて出力するインバータ・モードとの間の切り替えの瞬間に出力電力が瞬断し、特に、バイパス・モードからインバータ・モードに切り替わるときに最大50ミリ秒の瞬断が生じます。内蔵電池を持たないデスクトップ型パソコンでは再稼働が始まったり、液晶テレビも画面が数秒間暗くなったりする機種もありますので、それを回避するには市販のUPS(無停電電源装置)を入れるなどの対策が必要です。わが家では、切り替わる時間の朝8時と夜10時には、デスクトップ型パソコンは使用しないようにしておりますが、液晶テレビの画面の暗くなる問題は我慢できる範囲であり、我慢しております。

3. バッテリータイプと電力容量

 リチウム-イオン・タイプのバッテリーが機能的には最適でしょうが、現時点でも大容量のものは、100万円単位で相当高価であり、本システムの当初の最大予算額25万円ではとても手が出ません。安定した従来技術の鉛バッテリーで、大型ディープサイクル・タイプの「EB-160」という20時間率容量200 Ah(アンペア・時)のものを2個採用することにしました。インターネット価格で1個4万円程度です。変換効率の観点から2個のバッテリーを直列にして、24Vでインバータ入力に接続し、出力は最大電力2500W(2.5kW)まで、東電からの商用電力と同じ50ヘルツ、正弦波100Vとして取り出します。1年365日、10時間の充電と14時間の放電を交互に連続して繰り返すわけですから、バッテリーにとっては相当過酷な使い方です。

4. 蓄電システムの有効利用法

 本来、ここで採用したインバータは停電対策仕様で、商用100Vとバッテリー両方に接続され、通常は商用100Vをそのまま出力し、商用100Vが切断される停電時に、バッテリーからの直流を100V交流に変換して出力するモードに自動的に切り替える、という具合に設計されております。計画停電も中止された時点で、この装置を停電の時だけに備えておくのは非常にもったいないので、この仕様を利用して、バッテリーからの電気で家電製品類を動かすことで昼間時間の電力消費のピークの解消(ピークシフト)に貢献できないか、と考えました。電力に余裕のある夜間は、再び東電からの商用100Vに切り替えます。この操作には、まず、タイマーをセットして、インバータへの商用100Vを遮断(意図的停電)したり通電したりして、昼間時間帯はバッテリーからの電力をインバータで変換した100Vに切り替え、次に、夜間時間帯になると商用100Vに切り替えて家電製品類を動かします。 同時に、夜間時間帯には、別タイマーで、バッテリーに接続された充電器に通電して、翌朝までの間、バッテリーの充電を行い、昼間時間帯でのバッテリーからの電力供給に備えます。このように、2個のタイマーを用いることで、1年365日、自動的にこの操作を行うことができます。

FIG.3

 このとき注意を要する点は、充電には最大11A(アンペア)近い大電流が流れるので、充電開始用には、別途用意したタイマーを用いる必要があります。一つのコンセントから取れる電流は、最大15A(電力にして1,500W、または1.5kW)という規定があります。

 一方、東電の電気料金メニューには、いくつかの夜間割引料金メニューがあり、その中から生活スタイルに合ったものを選ぶことができ、わが家の生活スタイルとバッテリーの充電に必要な時間に余裕を持たせられる、夜間時間帯が一番長く設定された「おトクなナイト10」を選んだ。このメニューの特徴は、FIG.3に示すように、昼間時間帯を午前8時から午後10時まで、夜間時間帯を午後10時から午前8時までとし、電気料金はそれぞれの時間帯で、30.74円(正確には、最初の80kWh(キロワット時)まで23.87円、80kWh超えて200kWhまで30.74円)、および9.48円となっていて、本蓄電装置のインバータ用タイマーと充電器用タイマーを、午前8時に”オン“に、午後10時に”オフ“にセットすることにより、電気料金の削減を図ることができ、一石二鳥です。

 また、蓄電システムに接続されていない他の電化製品、例えば、電気洗濯機、電気掃除機、電気食器洗機、電気炊飯器、ヘアードライヤーなど、電力を多く消費する製品の使用は電気料金の安い夜間時間帯に使用することを徹底することで、さらなる電気料金の節約とピークシフトが図れます。また、本蓄電システムに接続されていない門灯、天井照明類のほとんどは、蓄電装置稼働より1年以上前から、消費電力の少ないLEDランプに交換済みですが、廊下の照明には25W程度ながら調光器付きで、白熱灯を使用しております。なお、FIG.3は東京電力のホームページからコピーさせていただきました。

5. 蓄電システムの電力量消費および電気料金節約の効果への考察

 本蓄電システムの稼働と東電の「おトクなナイト10」契約の両方を2011年4月末に行ったので、効果の確認は、2011年5月前後の1年間の電力消費量と電気料金節約額との“Before & After” で、毎月および1年間の合計比較で行ってみました。参考までに、Before として2010年5月、Afterとして2011年5月の東電からの「電気ご使用量のお知らせ」のコピーをそれぞれFIG.4 とFIG. 5に掲載します。同じ月の比較でも、年が違えば気候、気温などの環境も、電力使用量も違いますし、「おトクなナイト10」と蓄電装置の効果を、電気料金と電力使用量を単純に比較することで判断することは公平ではないと思いますが、1年間を通して比較することでより公平になるようにしたいと思います。直前の2010年5月と直後の2011年5月とを比較すると、電気料金で6,514円の節約、電力使用量で137kWhの節電、または、電気料金で約56%、電力使用量で約27%の節約という結果になりました。また、節約、節電は、本蓄電システムと「おトクなナイト10」の導入だけでなされたわけではなく、導入によって電力節約の精神がより強固になり徹底されたことも大きな要因と考えられます。

東電からの電気ご使用量のお知らせ-Before
FIG.4 東電からの電気ご使用量のお知らせ-Before
東電からの電気ご使用量のお知らせ-After
FIG.5 東電からの電気ご使用量のお知らせ-After

 2010年5月-2011年4月のBeforeと、2011年5月-2012年4月のAfterの期間における、電気料金および電力消費量の両面での比較を、月々および1年間の合計としてFIG.6、FIG.7の棒グラフに表してみました。まず、電気料金面での比較では、2011年は合計148,434円、2012年は合計82,935円となり、1年間で65,499円(44%)の節約、電力消費量での比較では、2011年は合計6,358kWh、2012年は合計5,280kWhで、1年間で1,078kWh(17%)の節電となりました。

 ここで強調したいのは、節電面での、ピークシフトへの貢献度を示す、昼間の電力消費量の節約量です。しかし、「おトクなナイト10」メニューへ移行後は、昼間時間と夜間時間と、それぞれの電力消費量が毎月の東電からのお知らせに別々に表示されているのですが、移行前の従量電灯制Bメニュー契約時は昼間・夜間合算の電力消費量しか表示されて来ませんので、正確に昼間の電力消費量の節約量は不明です。電気料金に関しても同様です。なので、ここで、従量電灯制Bの時には「1日全体の80%を昼間時間帯に消費していた」と仮定し、昼間の電力消費量の節約量を推定することにしました。「80%」とは、当時、電気洗濯機、電気食器洗淨機、テレビ、など、電力を消費する電気製品は、ほとんど夜10時前までの昼間時間帯に使用していたという事実からの、控えめな推量です。

 この仮定で計算をしますと、Beforeの時の昼間時間帯での電力消費量は、5,086kWh、Afterでは東電の通知から1,149kWhとなり、実に77.4%の節電です。また、Afterでは、昼間の1月当たりの平均電力使用量は、95.8kWhという低さでした。しかし、東日本大震災後、東電の燃料費調達の影響もあったり、寒さが長く続いて電気こたつの昼間時間帯での使用時間が長かったりして、1年間で8万円の節約という目標を達成することができなかったことが残念です。8万円という節約目標金額の意味は、システムのうち唯一の消耗品であるバッテリーの2個分、という意味で、この分だけでも、1年で投資金額の回収ができれば素晴らしい、と思った次第ですが、後2-3カ月で回収できることは確実です。

 以上から、本システムを導入したことによるピークシフトと電気料金の節約への貢献は大きく、特に電力不足による、さらなる節電・ピークシフトが求められ、電力会社からの大幅電気料金の申請がなされている中、今後とも実行する価値があり、継続して行きたいと思っております。

Before & Afterの電気料金での比較
FIG.6 Before & Afterの電気料金での比較  
Before & Afterの電力使用量の比較
FIG.7 Before & Afterの電力使用量の比較
昼間時間の消費電力量のBefore & Afterの比較
FIG.8 昼間時間の消費電力量のBefore & Afterの比較

6. 太陽光発電パネル(PV(*1)パネル)の設置

南向きベランダに取り付けられた太陽光発電パネル
FIG.9 南向きベランダに取り付けられた
太陽光発電パネル

 本システムを使用して約5カ月経過の2011年10月、大幅な電力使用量の節電と電気料金の節約をしては来ました。やはり、毎日のディープな放電と充電はほぼ100%という深度になり、その繰り返しは、バッテリーと充電器に相当な負担となっているようで、午前8時の充電終了時間に充電が85%程度しか終了しなかったり、充電器の15Aのヒューズが飛んでいたというトラブルがありました。バッテリーの寿命も短くしていると思われました。なので、バッテリーと充電器の負担を軽減するために、天気が良ければ昼間でも充電し、前記電気製品に電力が補給もされるように太陽光発電パネルを設置することにしました。

 太陽光パネルはまだ非常に高価なことと、設置場所の制限から、枚数は2枚とし、値段と出力のバランスからCSI(Canadian Solar Inc.)社の出力180Wの製品を選びました。太陽光発電パネルをバッテリーおよびインバータに接続するには、電圧調節のため、「太陽光発電パネル・チャージ・コントーローラ」という電子機械を介する必要があります。チャージ・コントローラにはこのパネルの高出力電圧(36.1V)とバッテリー電圧(24V)とのマッチングを効率よく行うMPPT(Maximum Power Point Tracking)機能の付いたものを選びました。採用したCSI社の太陽光パネルの公称最大動作電圧はバッテリー電圧24Vと比べて36.1Vと高圧なので、これをMPPT機能のないチャージ・コントローラ経由でバッテリーに接続すると動作電圧がバッテリーの電圧24V近辺にまで下げられてしまいますが、一方電流は同じ値に保たれるので、パネルからの出力電力は最大でも66.5%(=24/36.1)の112Wまで下がってしまうからです。この損失分を内部バッファーに1次的に蓄え、バッテリーの方に供給して太陽光発電パネルからの電力を常に効率良くバッテリーに伝達する機能を持つコントローラが「MPPT機能付チャージ・コントローラ」です。内部機構が複雑ですので、値段は高めですが、最近、中国製の製品も増えて、手頃な価格になってきたようです。

  • (**) (*1) PV:太陽光発電に対する英語のPhotovoltaicの略

7. 太陽光発電パネル(PVパネル)の効果

 FIG.10は、太陽光発電パネル設置後の、昼間時間における天候別バッテリー電圧の対時刻変化の平均を表したものです。8:00時のバッテリー電圧は、夜間電力による充電終了直後の電圧で、その後は、インバータを通して接続された電気製品に電力を供給し始めるので、電圧は急速に下がって行きますが、太陽光が強くなるにつれて太陽光発電パネルによる充電効果が表れ、電圧は上昇してまいります。これで見ると、太陽光発電パネルの効果は歴然で、特に天候が晴れた日の10時ごろから14時ごろまでの発電効果は大きく、29V近くにまで上昇しますが、この時点でチャージ・コントローラは過充電防止とインバータ過電圧防止のため、バッテリーへの充電を自動的に停止します。ここで、PVパネル無しのデータは、太陽光発電パネル設置以前の2011年6月のものです。また、データの取得期間は2012年1月から3月までの間です。この、太陽光発電パネルの無かった時には、昼間時間終了時間の22時近くになると、バッテリーの電圧が低下し、昼間時間にテレビを長時間見た日などは、インバータ動作電圧以下になって、バッテリー過放電防止のためインバータが自動的に遮断してしまい、冷蔵庫やテレビなどを運転できなくなってしまったこともありました。しかし、太陽光発電パネルを設置してからは、雨天が2、3日続いてもそのようなことはなく、安定した運転を継続しております。また、夜中に不意の停電になっても自動的にバッテリーからの電力供給モードに切り替わる余力ができ、朝起きたら冷蔵庫が停止して内部の冷凍食品が解凍されていた、というような悲劇的な事態は避けられる可能性が高くなります。

太陽光発電パネル設置後の天候別バッテリー電圧毎時推移
FIG.10 太陽光発電パネル設置後の天候別バッテリー電圧毎時推移

 また、昼間、太陽光発電パネルからバッテリーに充電が行われるので、夜間時間の商用100Vによるバッテリー充電に必要な電力も少なくて済み、夜間電力の節電につながります。夜間電力料金はもともと安いので、後述するように、あまり料金の節約にはつながらないようですが、バッテリーの充放電深度(DOD)が浅くすみ、バッテリーの寿命延長につながるというメリットがあります。

 ここで、バッテリー充電に必要な商用電力が、太陽光発電パネルによる昼間の充電によってどのくらい節約できたかを調べるために、「太陽光発電パネルを設置していなかった」「太陽光発電パネル無しの時」、太陽光発電パネル設置後「昼間の天候が晴れ、曇り、および雨の時」それぞれの場合の夜間におけるバッテリー充電に必要な電力量のデータを取り、それらの平均値の比較をして、FIG.11のグラフに表してみました。一口に天候と言っても、晴れのち曇り、薄雲の掛かった晴れ、雲の厚い曇り、薄曇り等々、無限にいろいろなパターンがあります。主観的にみて、晴れ、曇り、雨のうち、どれが一番長い間続いたか、で大別したものなので、数字を含めて、それ程厳密なものではないことをご承知ください。

天候別バッテリー充電に必要な電力平均値
FIG.11 天候別バッテリー充電に必要な電力平均値

 これでみると、太陽光発電パネルが無かった時には、毎晩平均約4.9kWhの夜間商用電力が充電に必要でしたが、太陽光発電パネルを設置後は、それぞれ平均で、昼間の天候が雨天の時には約3.8kWh、曇りの時は約2.9kWh、晴れの時は約2.1kWhでした。昼間時間の太陽光発電パネルが夜間時間での充電電力節約に相当貢献していると言えます。

 例えば、昼間時間の天気が晴れていた日には、太陽光発電パネルが無かった時に比べ、一晩当たり2.8kWhも節電しています。しかし、夜間時間における節電も、夜間時間の電力単価が、9.48円/kWhと非常に安いので、一晩26.5円の節約、これを年額に換算すると、1年のうち約3分の2が晴れの日であると仮定しても、年間約6,450円程度の節約にしかならず、取り付け用アングル材などを含む太陽光発電パネル一式に対する投資額約190,000円を回収するには約30年もの期間を要してしまいます。太陽光発電パネルは、電力自家消費目的には経済的には向いておらず、42円/kWhの単価で電力会社に売れる売電用にする方がはるかに経済的です。しかし、太陽光発電パネルも、世界的規模な作りすぎによる値崩れと、シリコン以外の、CIGS(**)系などの新しい材料を用いた製品も市場に出てきたので、さらに安くなるなど状況も変わるかと思われます。

  • (**) 銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)の化合物を半導体材料に用いた太陽光発電パネル

8. 今後の課題

 これまでは、目立った障害もなく1年以上稼働してきましたが、最大の課題は、リチウム・イオン2次電池に比べて寿命的に劣ると言われている鉛バッテリーの寿命が、このような過酷な使用状況の中でどのくらいになるものかです。約500回の充放電が限界である、という説もありますが、その点を今後、電解液の比重測定も含め、緊密な観察を通して見極めてゆきたいと思っております。なお、鉛バッテリーの寿命を短くする大きな原因は、充放電で徐々に進行する、内部の電極に硫酸鉛の結晶が固着する「サルフェーション」という現象による劣化と言われています。この進行を遅らせる効果があるということで、車載鉛バッテリー用としてインターネット上で評価されている、「ナノパルサー(Nanopulser)」という製品を取り付けてありますが、本システムでの効果は未知です。

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