レポート - 科学館・博物館レポート -

「天文教育普及研究会 近畿支部集会 “宇宙(天文)を学べる大学”合同進学説明会」

尾林 彩乃(SciencePortal 特派員)

掲載日:2008年6月25日

6月22日(日)に、大学で天文・宇宙を学んでみたいという高校生・受験生のための大学進学説明会が、大阪市立科学館で開かれました。主催したのは天文教育普及研究会で、近畿支部の集会に合わせて行われたものです。ちなみに、同じ日に中国四国支部集会でも同様の説明会が開催されました。

天文を学べる大学、研究者が在籍している大学は、大きな大学に限ったことではなく全国各地にあります。にもかかわらず、よくは知られていないのが実情です。これまでに、天文教育普及研究会の有志が情報を集めて資料を作成したり、ウェブサイトで公開したりしてきました(例えば、宇宙を学べる大学・天文学者のいる大学 2005年度版 ホームページ 作成:愛知教育大学)。

しかし、実際に複数の大学に集まってもらい、生徒や学校関係者と直接対面して詳しい話をする機会を設けるというのは、初めての試みです。

この日に大阪市立科学館で大学の研究者が参加し説明を行ったのが14大学(筑波大学、金沢大学、京都産業大学、京都大学、大阪産業大学、大阪大学、大阪府立大学、大阪市立大学、近畿大学、大阪教育大学、甲南大学、神戸大学、広島大学、鹿児島大学)、資料提供のみの大学が4大学(山形大学、名古屋大学、和歌山大学、東海大学)ありました。

参加者は100人程度で、そのうち高校生は34人でした。これは主催者の予想を超えるものでした。関係者から誘いを受けて参加した学校だけなく、これまで全くつながりがなかったところからの参加もあったということです。

午前中に、1大学あたり6分程度の発表がありました。一般的な大学説明会の場合、紹介される内容は、大学の雰囲気や入試情報、就職情報などが中心となるでしょう。しかし、今回の場合はそういった情報はごく一部で、以下のような内容に重点が置かれた紹介となりました。

  • スタッフ(研究者)の研究内容
  • 1年次からの天文に関する講義内容
  • 大学にある施設(実験装置や、天体観測に使う望遠鏡など)
  • 連携している研究機関や観測装置(海外にあるものも含む)
  • 研究室の雰囲気

さらには、今の高校生がその大学に入学した場合に、卒業研究や修士論文はどのような研究テーマで行うことになるかといった内容も語られました。数年後に本格始動を控えているビッグプロジェクト(建設中の大型望遠鏡や、打ち上げ予定のある観測衛星など。例えば、京都・岡山3.8m新望遠鏡計画アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計ALMA、国際宇宙ステーションに取り付け予定のEUSO望遠鏡)が度々スクリーンに表示され、そういった研究にかかわれることが手の届かない夢ではないことが示されました。

ひととおりの紹介が終わった後はテーブルを移動させて、大学ごとのブースのようなものを作り、そこに高校生が訪れて直接研究者と話ができる時間が約1時間半ほど設けられました。この時間はランチタイムも兼ねており、会場の一角ではお茶や珈琲、お菓子などが提供されていましたが、あちこちのブースやポスター前で、食事も忘れて話に熱中する姿が見られました。そのようなわけで会場はざわついていましたが、それが時に1対1でざっくばらんに話せる雰囲気を作っていたように感じられました。また、どこへ見に行っていいか迷っているような高校生がいると、会の世話人が積極的に声をかけて大学のブースに誘導する様子も見られました。

昨今は広報活動に力を入れている大学も増えている影響で、各大学のパンフレットも色とりどりでした。また、夏休みを控えているということでオープンキャンパスを予定している大学も多く、その告知も盛んでした。ブースをめぐって集めたパンフレットの束を抱え、「おもしろそうな内容がいっぱい」と迷っているような様子の参加者が目につきました。

数名の生徒を引率してきた高校の理科担当の教師(会員)は、「ここに来た高校生は、普通の大学説明会とは違う、学べる内容が重点的に語られる説明会をこの場に求めていたので、今日の話の内容は良かったと思う。受験生だけでなく1、2年生も参加しており、志望大学選びの参考になったのではないか」と話していました。

また、大学を紹介した研究者は、「話を聞きに訪れた人の中には、多少的外れでも『こんなことをやってみたいんです』というように意欲あふれる生徒もいて、驚いた。大学選びというだけでなく、実際にぞれぞれの大学でどのような研究がされているのか一端を知るという点でも、高校生だけでなく研究者にとっても興味深いイベントだったのではないか」と話していました。

終了後は、高校生にもひき続き参加していただき、最新の研究成果の紹介として「母なる星、太陽の最新像」「連星ブラックホールの発見」「目に見えない波長で調べる高温の宇宙」の3つのタイトルの講演会が行われました。

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