レポート - 英国大学事情 -

2012年12月号「2012年度・英国大学統計資料<英国大学協会2012年9月発行資料より>」

掲載日:2012年12月1日

英国在住30年以上のフリーランス・コンサルタント山田直氏が、新しい大学の生き方を求め、イノべーション創出、技術移転などに積極的に取り組む英国の大学と、大学を取り囲む英国社会の最新の動きをレポートします。(毎月初めに更新)


2012年9月、英国大学協会(Universities UK)は2012 年度版の「Higher education in facts and figuresと題する、英国の大学に関する統計資料集を発行した。2010年版の同協会資料集を「英国大学事情2011年5月号」にて紹介したが、今月号はその最新版として、同協会の資料を抜粋して紹介する。(なお、紙面の制約や表の関係から、一部を編集し直している。)



【1. 年度別入学許可者数 】

(2009-2011年度:フルタイム学部学生のみ)
  入学許可者数 入学許可率
  2009年 2010年 2011年 2009年 2010年 2011年
男性 218,185 220,085 221,876 76.6% 71.7% 72.4%
女性 263,669 267,244 270,154 74.3% 68.4% 68.7%
女性の比率 54.8% 54.8% 54.9% - - -
留学生の比率 11.8% 12.9% 12.4% - - -
英国在住応募者数 425,063 424,634 431,235 78.1% 72.4% 73.2%
EU在住応募者数 23,807 25,607 26,701 60.3% 54.1% 54.2%
EU域外応募者数 32,984 37,088 34,094 58.8% 58.7% 55.4%




【2. 高等教育進学率 】

  1999年 2002年 2006年 2007年 2010年
イングランド地方(17-30歳) 39% 41% 42% 43% 47%
スコットランド(21歳以下) 49% 46% 43% 49% 44%
北アイルランド 46% 46% 50% 45% 47%




【3. 学科別学生数(学生数の多い学科順) 】

(2010・11年度:概数)
学科 学部 大学院   学部 大学院
ビジネス関連 20万名 12万名 歴史 8万名 2万名
ヘルス関連 20万名 6万名 物理 6.5万名 2万名
教育 12万名 10万名 法律 6.5万名 2万名
社会学 16.5万名 2.5万名 医学・歯学 4.5万名 2万名
生物学 16万名 1.5万名 建築 4.5万名 1万名
アーツ・デザイン 16万名 1万名 マスコミ 4万名 1万名
工学 12万名 4.5万名 数学 3万名 1万名
語学 12万名 2万名 農学 1万名 若干名
複合科目 10万名 若干名 獣医学 若干名 若干名
コンピューター 8万名 2万名  




【4. フルタイム・パートタイム別:学士課程・大学院課程学生数 】

(2010・11年度)
  学士課程 大学院(研究) 大学院(授業) 合計
フルタイム 1,367,330 74,780 235,235 1,677,345
パートタイム 545,245 29,080 249,625 823,950
合計 1,912,575 103,860 484,860td> 2,501,295




【5. 出身地別:学士課程・大学院課程学生数 】

(2010・11年度)
  学士課程 その他課程(*1) 大学院(研究) 大学院(授業) 合計
英国 1,279,640 418,395 61,100 313,930 2,073,065
EU 69,770 10,550 13,530 36,265 130,115
EU域外 114,670 19,550 29,230 134,660 298,110
合計 1,464,080 448,495 103,860 484,855 2,501,290




【6. 学位・資格授与数 】

(2010・11年度)
  フルタイム パートタイム 合計
学士課程     510,380
  学士号 330,715 38,295 369,010
  その他の学士課程資格 46,335 67,730 114,065
  2年制ファウンデーション・ディグリー 17,600 9,705 27,305
大学院課程     252,155
  PGCE(Postgraduate Certificate in Education)(*2) 19,620 1,595 21,215
  その他の学位(修士号等) 122,405 40,125 162,530
  その他の資格 14,575 33,755 48,330
  博士号 16,375 3,705 20,080




【7. 留学生の出身地比率 】

(2010・11年度。カッコ内は2008・09年度)
アジア 43.4%(41%) その他の欧州 4.0%(3%)
英国以外のEU 30.4%(32%) オーストラリア 0.6%(1%)
アフリカ 8.6%(9%) 南米 0.9%(1%)
北米 6.1%(7%) そのほかのEEA国 1.0%(1%)
中東 6.1%(5%)  




【8. 入学者数の推移 】

  1994・95年度 2009・10年度 2010・11年度 1994・05年度からの増加率
学士課程 1,231,988 1,914,710 1,912,580 +55.2%
大学院課程 335,325 578,705 1,912,580 +75.6%
合計 1,567,313 578,705 2,501,300 +59.6%




【9. 教員 】

(2010・11年度)
  フルタイム パートタイム 合計
全教員数 118,120名 63,065名 181,185名
女性教員の比率 39% 55% 44%
障害を持つ教員の比率 3% 3% 3%
英国籍以外の教員の比率 27% 18% 24%
黒人および少数人種グループ教員の比率 13% 10% 12%
高等教育機関が全給料を負担する教員の比率 72% 89% 78%
研究のみに従事する教員の比率 29% 11% 22%
35歳以下の教員の比率 29% 27% 28%
55歳以上の教員の比率 15% 24% 18%




【10. EU域外からの留学生数及びその授業料収入の推移 】

年度 留学生数 留学生授業料収入(£100万ポンド)
1994・98年 97,997 455(590億円)(*3)
1999・00年 122,150 672(870億円)
2004・05年 214,690 1,396(1,800億円)
2008・09年 247,995 2,200(2,900億円)
2009・10年 約250,000 約2,800(3,600億円)




【11. 高等教育機関の総収入の内訳 】

(2010・11年度。カッコ内は2008・09年度)
総収入276億ポンド(約3兆5,880億円)の内訳
運営費交付金(HEFCE等) 32%(35%) EU以外の留学生からの授業料 11%(9%)
その他の収入(宿泊設備、会議質貸し出し収入等) 19%(18%) 英国・EUパートタイム学生からの授業料 2%(2%)
英国・EU域内フルタイム学生からの授業料 17%(16%) その他の助成金 2%(2%)
研究助成金(RC)・外部契約 16%(16%) 大学基金及び投資収入 1%(1%)




【12. 高等教育機関の総支出の内訳 】

(2010・11年度。カッコ内は2008・09年度)
総支出272億ポンド(約3兆5,360)の内訳
人件費 56%(57%) 償却費 6%(5%)
その他の運営経費 37%(36%) 金利支払い等 1%(2%)




【13. 筆者コメント 】

英国の高等教育機関の2008・09年度における総収入は253億ポンド(3兆2,890億円)、総支出は249億ポンド(3兆2,370億円)であったのに対し、2010・11年度の総収入は276億ポンド(3兆5,880億円)、総支出は272億ポンド(3兆5,360億円)と、総収入で9.1%増、総支出で9.2%増となっている。両年度とも、総収入が総支出を上回り、全体では黒字運営となっている。

2010・11年度の運営費交付金額の総収入に占める平均比率は、2008・09年度の35%から32%に低下しており、大学による収入減の多様化の努力がうかがえる。参考までに、オックスフォード大学とケンブリッジ大学の最新の実例を紹介する。

【オックスフォード大学の主要指標】
(単位:100万ポンド)
  2006・07年度 2010・11年度
収入合計 677.5(880億円) 919.6(1,195億円)
 運営費交付金 179.8(234億円) 27% 200.3(260億円) 22%
  授業料、その他助成金 94.0(122億円) 14% 152.7(199億円) 17%
  研究グラント、研究契約 248.2(323億円) 37% 376.7(490億円) 41%
  その他の収入(*3) 126.2(164億円) 19% 158.4(206億円) 17%
  大学基金からの収入及び投資収入 28.3(37億円) 4% 31.3(41億円) 3%
  歴史的資産への寄付金 1.0 0.2
支出合計 674.2(876億円) 908.2(1,181億円)
剰余金 +3.3(4億円) +11.4(15億円)
学生数合計 19,995名 21,535名
  学部学生数(フルタイム換算) 12,106 11,723
  大学院生数(フルタイム換算) 7,382 9,327
  訪問学生及びその他学生数 507 485


ケンブリッジ大学の主要指標
(単位:100万ポンド)
  2009・10年度 2010・11年度
収入合計 1,193(1,550億円) 1,251(1,626億円)
 運営費交付金 205(267億円) 17% 203(26億円) 16%
  授業料、その他助成金 110(143億円) 9% 127(165億円) 10%
  研究グラント、研究契約 268(348億円) 22% 284(369億円) 23%
  検定・資格試験料 260(338億円) 22% 266(346億円) 21%
  出版・印刷事業 222(289億円) 19% 227(295億円) 18%
  その他の収入 110(143億円) 9% 127(165億円)10%
  大学基金からの収入及び投資収入 18(23億円) 2% 17(22億円) 1%
支出合計 1,191(1,548億円) 1,261(1,639億円)
剰余金 +2(3億円) -10(13億円)
人件費(全支出に対する比率) 45.7% 45.3%


上記のように、英国全体では総収入に占める運営費交付金の平均値は32%ではあるが、特に有力大学を始めとした多くの大学で運営費交付金の比率を下げる努力をしている。
オックスフォード大学では2006・07年度の27%に対し、2010・11年度では22%まで下がってきている。またケンブリッジ大学でも2009・10年度の17%から2010・11年度では16%と低下している。なお、ケンブリッジ大学では検定・資格試験料と出版・印刷事業収入が年間640億円近くあり、これがオックスフォード大学との収入額の差の要因になっている。

最後に、今月号の「英国大学事情」は通算第120号となり、2003年1月の執筆開始以来、10年が経過した。この10年間、英国の大学の数々の試みを見てきたが、絶えず危機感とスピード感を持って種々の改革に取り組んでいる姿勢を感じた。又、大学間の競争と連携をうまく組み合わせて、活力の原動力にも活用しているように思う。

「英国大学事情」の執筆開始時には10年間も続けることを想定していなかったが、紹介したい事例が次から次へと出てきて、執筆の材料には事欠かなかった。今後どれくらい執筆を続けられるは現在のところ不明であるが、できるところまで続けていこうと思っている。



(参考資料:Universities UK )
ページトップへ