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科学技術関連の事業仕分けに時間は十分か

掲載日:2009年11月10日

鳩山政権による事業仕分けが11日から実施される。科学技術関連では、グローバルCOEプログラム、科学研究費補助金、戦略的創造研究推進事業など、競争的研究資金のほか、革新的タンパク質・細胞解析研究イニシアティブ(ターゲットタンパク研究プログラム)、新興・再興感染症研究拠点形成戦略型活用プログラム、次世代スパコンやITER、GXロケットなどの大型プロジェクトも対象になっている。さらに国立大学運営費交付金も仕分け対象になっており、結果によっては科学技術創造立国に暗い影を落とすことになりそうだ。

事業仕分けでは、各省担当職員が事業シートに基づいて事業の要点や補足説明を5-7分で行い、その事業について財務省主計局が考え方を3-5分説明、取りまとめ役が事業を選定した背景や主な論点を提示してから、評価者(仕分け人)が説明者に対して質問したり議論する。議論の時間は40分程度。その後、評価者が評決内容を評価シートへ記入し、取りまとめ役が集計して評価結果を決める。

評価結果は、「不要」「民間委託すべき」「地方自治体が行うべき」「国が行なうべき」といった区分に分けられ、来年度予算編成に大きな影響を与える。行政刷新会議では、95兆円の概算要求を圧縮するため、数兆円規模の見直しを考えている。

しかし、科学技術関係予算の必要性は、なかなか分かりにくい。例えば、ターゲットタンパク研究プログラムの必要性を理解するためには、タンパク質研究とは何なのかから知らなければならないためだ。また、国立大学の運営費交付金が仕分け対象になったことは、橋本行革の時、国立大学の民営化が議論になったことを思い起こさせる。

国際競争力や国益につながる科学技術について、短い時間でどれだけ的確な見直しができるだろうか。

科学技術関連施策で事業仕分け対象になった主なものは以下の通り。

  • 国立大学法人運営費交付金
  • 大学教育・学生支援推進事業
  • グローバルCOE プログラム
  • グローバル30
  • 組織的な大学院教育改革推進プログラム
  • 大学教育充実のための戦略的大学支援プログラム
  • 大学等奨学金
  • 科学技術振興調整費(革新的技術推進費、先端融合領域イノベーション創出拠点の形成)
  • 科学技術振興調整費(若手研究者養成システム改革)
  • 科学研究費補助金(若手研究(S)~若手研究(B)、特別研究員奨励費)
  • 特別研究員事業((独)日本学術振興会)
  • 女性研究者支援(科学技術振興調整費(女性研究者支援システム改革))
  • 世界トップレベル研究拠点(WPI)プログラム
  • 学術国際交流事業((独)日本学術振興会)
  • 知的クラスター創成事業
  • 都市エリア産学官連携促進事業
  • 産学官連携による地域イノベーションクラスター創成事業
  • 産学官連携戦略展開事業
  • 地域イノベーション創出総合支援事業((独)科学技術振興機構)
  • 理科支援員等配置事業((独)科学技術振興機構)
  • 科学未来館((財)科学未来広報財団への運営委託を含む)((独)科学技術振興機構)
  • 科学研究費補助金(特別推進研究、特定領域研究、新学術領域研究、基盤研究(S))
  • 戦略的創造研究推進事業((独)科学技術振興機構)
  • 戦略的イノベーション創出事業((独)科学技術振興機構)
  • 先端的低炭素化技術開発((独)科学技術振興機構)
  • 戦略的基礎科学研究強化プログラム((独)科学技術振興機構)
  • 革新的タンパク質・細胞解析研究イニシアティブ(ターゲットタンパク研究プログラム)
  • 革新的医薬品・医療機器の創出に向けた研究(分子イメージング研究(文科省、(独)理化学研究所、(独)放射線医学総合研究所)
  • 新興・再興感染症研究拠点形成戦略型活用プログラム
  • 原子力システム研究開発事業
  • 先端計測分析技術・機器開発事業((独)科学技術振興機構)
  • 次世代スーパーコンピューティング技術の推進((独)理化学研究所)
  • 大型放射光施設(SPring-8)((独)理化学研究所)
  • 植物科学研究事業((独)理化学研究所)
  • バイオリソース事業((独)理化学研究所)
  • GX ロケット((独)宇宙航空研究開発機構)
  • 宇宙ステーション補給機(HTV) ((独)宇宙航空研究開発機構)
  • 衛星打上げ(24 年度以降打上げ分)((独)宇宙航空研究開発機構)
  • 深海地球ドリリング計画推進((独)海洋研究開発機構)
  • 地球内部ダイナミクス研究((独)海洋研究開発機構)
  • 高速増殖炉サイクル研究開発(原型炉「もんじゅ」および関連研究開発)((独)日本原子力研究開発機構)
  • 材料試験炉研究開発(JMTR) ((独)日本原子力研究開発機構)
  • 高レベル廃棄物処分技術開発(深地層処分)((独)日本原子力研究開発機構)
  • 国際熱核融合実験炉研究開発(ITER(サテライト・トカマク計画)) ((独)日本原子力研究開発機構)

【この記事へ読者コメント】  
基本的に求められていることは財政規律
投稿者:aohmusi 2009年11月18日掲載
大まかにだが、財政刷新会議での評議の録音を聴いた。

全体として、独立行政法人としての予算以外の予算として資金をもらっているのにもかかわらず、

大まかであっても
収益を見込めない研究と見込める研究の区分がない事
十分な資料を用意していないこと(予算や目的に一般論が多く具体性が少ない)
レビューがなされていないこと
が槍玉に挙がっていた。

削減の方向が示された理由は研究そのものには理解が示されたものの上の三つから、財政規律が不十分だという意味で削減されたのだと思う。

独立行政法人として不適切であるという指摘だろう。

良いか悪いかは別にして研究そのもの、施設の必要性そのものを否定されたのではないという点を誤解している議論が多い気がする。

もう一度、情報を整理すべきだし少なくとも、不十分な情報で議論に挑もうとした各事業の代表は反省すべきかと思う。

ワーキングプアが大流出しはじめます
投稿者:高学歴ワーキングプア 2009年11月18日掲載
今回の事業仕分けの結果、平成22年度から、科学、特に、バイオインフォマティクス、ライフサイエンス関係をはじめとする欧米ではトップ研究領で研究者の雇い止めがおこり、我が国では「高学歴ワーキングプア」(すなわち、雇い止めのため、夜はコンビニで仕事、昼間はほぼ無休で研究をして、何とか研究と家計をつないでいるひと)が大量に社会に流失することが予想される。これでは、若い研究者は、これをみて、この国の科学技術に強い憤りを感じ、未来科学間が充実しても、そのなれのはては、「高学歴ワーキングプア」であるという理解が若手に既にひろまりはじめた。

民主党政権下では日本は科学技術立国でなくなってしまう、本当の危機が訪れる
投稿者:marubane 2009年11月18日掲載
科学技術関連の事業仕分けで、およそこの国から基礎研究や基礎学問はなくなり、この研究をやったらなんぼのお金になるんや、といったような極めて下卑た科学政策に落ち込みそうで、本当に危機感を感じています。本当に、今すぐ民主党にはつぶれて自民党に復活してもらわないと、日本は滅亡してしまいます。

科学技術分野の仕分け作業の日程の早期開示を望む
投稿者:K_Tachibana 2009年11月12日掲載
事業仕分作業が今日から開始されたが、仕分けのスケジュールの全体像が開示されていない。

少なくとも、科学技術関連の仕分けについては傍聴はできなくともウェブ中継でチェックしたいので、ぜひとも開示してより多くの人たちの目が行き届くようになればと思う。

時間もそうだが仕分け方法も
投稿者:miyabine 2009年11月11日掲載
>、「不要」「民間委託すべき」「地方自治体が行うべき」「国が行なうべき」

短い問答、そしてこの仕分け方法。
科学技術もこれに当てはめられて考えられるのに違和感を覚える。
また、専門用語が多く出てきて説明不十分な箇所や理解されずに結論が出される形になら無いだろうか。
「何やってる研究かさっぱりわからない、背景を聴いてもピンと来ない、現実するのもだいぶ先だしな、不要で」
これでは、その研究に携わっている人が不憫すぎる。

そのような結果が生まれないことだけを祈るのみである。

 
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