レビュー

新型インフルエンザ情報の広報

2009.05.19

 新型インフルエンザは、検疫で引っかからなかったウイルスによるとみられる感染が国内で広がりを見せている。専門家が早くから予想していたことだ。想定内の“事態急変”に対し、政府の広報体制は十分といえるだろうか。

 19日午前9時の時点で、厚生労働省の新型インフルエンザ対策関連情報 サイトを探しても、感染者が何人確認されたかという表示が見つからない。ちなみに世界保健機関(WHO)のホームページには、日本の感染者数125人を含む、世界各国の感染者数、死者数が、載っている。これは毎日、更新され、17日までは毎日、現状についての簡潔なコメントも付記されていた。

 厚生労働省「新型インフルエンザ対策関連情報サイト」の最新情報コーナーに掲載されている19日付の情報は「新型インフルエンザ患者の確定診断について」という1本のみだ。しかも、これは健康局結核感染症課から、都道府県・保健所設置市・特別区の衛生主管部(局)長にあてた事務連絡である。こうした情報が一般にも公表されること自体、よいことではあろうが、一般国民向けに今どのような状況になっているかを説明したものも、今のような時点ではより必要ではないだろうか。

 必要な情報は記者会見で逐一発表しているので、新聞、放送を通じ、広く伝わっている、という理屈かもしれないが、これではインターネットが普及しない前の考えと変わりはない。例えば海外で日本国内の最新状況を知りたいという人たちが、このサイトをみてどの程度の情報を得られるだろうか。

 新型インフルエンザ対応で、もっとも重要なことの一つは、パニックを起こさないことと言われる。そのためには責任あるところから分かりやすい情報発信が逐次、きちんと発信されることが必要不可欠ではないか。

 広報体制を強化して、記者会見の内容を素早く要約してウェブサイトでも公表していくくらいのことはできないものだろうか。

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