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中国も自然を食いつぶす国に

掲載日:2008年6月12日

エコロジカル・フットプリントという言葉をどれだけ多くの人が知っているだろうか。WWF(世界自然保護基金)ジャパンによると「ライフスタイルを支えるのに必要な農耕地等の面積の和」と説明されている。これだけでは少々分かりにくい。NPO法人「エコロジカル・フットプリント・ジャパン」によると「私たち人間のエネルギー消費、食料、消費財などを面積に換算して、どれほどの土地が必要かを表すことで、どれほど人間が自然環境に依存しているかを、わかりやすく伝える指標」という。あるエリアの経済活動の規模を、食料のための農牧地・海や木材・紙供給・二酸化炭素吸収のための森林など、エリア内だけでなく輸入品の生産に要するエリア外の面積も足し合わせてヘクタールで表す。「そのエリアで自然環境を踏みつけている面積=人間の足跡(フットプリント)」と説明されるとなるほどという気になるかもしれない。

さて、その1人当たりのエコロジカル・フットプリントが、中国では1960年代から2003年時点で倍増しており、国内の生態系が持続的に供給できる飲み水、農作物、木材などの天然資源の2倍以上を必要とするまでになっている、という報告が公表された。

「中国の環境と開発に関する国際協力委員会」(CCICED)とWWFの共同委託研究に基づく報告書だ。報告によると2003年の中国の1人当たりエコロジカル・フットプリントは1.6ヘクタール。ライフスタイルを支えるために必要とする土地が1.6ヘクタールということだ。この数字は世界平均の2.2ヘクタールよりは小さい。しかし、巨大な人口のため、1960年代までは、同国内の生物生産能力がエコロジカル・フットプリントを上回っていた関係が、70年初めに逆転、03年時点ではエコロジカル・フットプリントの方が生物生産能力の倍にまで増大してしまった。

「中国はこれからの20年が正念場。持続可能な発展に切り替えられるかどうかが重要になる」と、祝光耀CCICED事務局長は言っているという。

報告書によると、中国の生物生産能力から見た輸入の総量は、4億8,000万ヘクタールで、輸出は3億5,000万ヘクタール。差し引き1億3,000万ヘクタールの入超となっており、これはドイツの生物生産能力に相当するという。

輸出入の相手国を見ると、輸入が多いのはカナダ、米国、インドネシアなど。米国からは穀物、丸太、パルプが主な輸入品で、インドネシアもパルプが主となっており、森林資源の外国依存がはっきり出ている。輸出が多いのは日本、韓国、オーストラリア、米国の順で、オーストラリアは紙、その他3国は毛織物、水産物が主要輸出品となっている。

日本に関しては、輸入に比べ、輸出が極端に多いのが目立ち、差し引き1,580万ヘクタール分のエコロジカル・フットプリントを日本は中国に負担させているという結果になっている。ちなみに日本の1人当たりエコロジカル・フットプリントは、4.4ヘクタールで中国よりもはるかに高く、世界平均の倍となっている。

中国の1人あたりのエコロジカル・フットプリントの推移
(茶色の線。緑の線は中国の生物生産能力。破線は中国の1人あたりGDP)
中国の1人あたりのエコロジカル・フットプリントの推移
(提供:WWFジャパン)
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