レビュー

英科学誌の記事は褒め殺し?

2008.01.18

 英科学誌ネイチャー1月17日号が、ニュース欄でiPS細胞研究に対する日本政府の機敏な支援の動きを取り上げ、“珍しい”対応だ、と紹介している。

 山中伸弥 氏・京都大学教授が胚性幹細胞(ES細胞)とほとんど変わらないiPS細胞を成長した細胞から安くかつ簡単に作り出した、と発表したのは、11月20日。その1週間後に福田首相が総合科学技術会議のまとめの議長発言として「臨床研究を含め、この成果がスムーズに進展する環境を作るよう」求めたことや、12月22日に文部科学省が、iPS細胞研究に2007年度2億7,000万円、08年度に22億円の研究助成を決めたことなど具体的な動きを詳しく紹介している。

 中見出しに取っている「日本がこのような好機をもつのはまれなこと」という言葉は、文中に出てくる西川伸一 氏・理化学研究所発生・再生科学総合研究センターグループディレクターのコメントである。iPS細胞研究推進のためにiPS研究に関する情報、研究材料を共有できるコンソーシアムがつくられ、西川 氏がその長になることとともに、前述のコメントが紹介されている。

 この研究はすべての研究者、特にアジア・太平洋地域の研究者とともに進められるべきで「日本の外交を促進(encourage)させるために活用されるべきだ」という西川 氏の意見も載せている。

 さらに新年度から、科学技術振興機構による10億円の研究助成プロジェクトが発足することも伝え「こうした急な研究投資は、有望な研究分野を決める際、通常、米国のあとを追っていた日本政府には珍しい」と言っている。

 同時に次のように付け加えている。「過去には、これが好機を逃す結果ももたらした。最初に日本で提案されながら日本が端役にしかなれなかったヒトゲノム解読計画のように」

 ネイチャー誌の記事が、褒め殺しにならないようにしないと、と感じた人も多いのではないだろうか。

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