レビュー

民主、共和両党候補のES細胞研究に対する姿勢

2008.01.11

 連日、日本の新聞、放送でも大きく取り上げられている米大統領予備選にからみ、米テレビCNNのウェブサイトが、予備選を戦っている民主、共和両党候補(既に撤退した候補も含む)に対し、胚性幹細胞(ES細胞)研究についての姿勢を問うた答えを載せている。

 民主党は、激しい先頭争いをしているヒラリー、オバマ両候補を含む8人全員が「ES細胞研究に連邦政府の研究助成」を支持している。

 一方、共和党候補の中では、ニューハンプシャー州予備選を制したマケイン上院議員が「廃棄されるか永久に凍結されるほかない胚を用いたES細胞研究」への連邦政府の研究助成を支持した。さらに、有力候補の1人であるジュリアーニ前ニューヨーク市長も「胚が研究目的のみでつくられず、ヒトクローンにもつながらない限り」ES細胞研究に対する連邦政府の研究助成を支持している。そのほかの6人の候補は全員、反対の意思を明らかにしている。

 ただし、有力候補の1人、ロムニー前マサチューセッツ州知事は、ES細胞研究への連邦政府の研究助成にも、研究目的だけのために胚をつくることにも反対する一方、「胚を壊さないaltered nuclear transfer(改変核移植法)と呼ばれる手法は支持する」と答えている。これは山中伸弥・京都大学教授が切り開いたiPS細胞を念頭に置いた答えに見える。

 CNNのウェブサイトは、ES細胞研究が米国において主要な政治テーマになっていることを裏付けるものと言えるだろう。ブッシュ政権は、ES細胞への連邦政府の研究助成を禁じる政策を堅持しているが、これまでナンシー・レーガン元大統領夫人が、研究助成に賛成する意見を公表したことがあるなど、共和党内でも意見の違いはあるようだ。

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