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バイオガソリン発売で論議も活発に

2007.04.27

 バイオエタノール入りのガソリンの試験販売が、27日から始まった。これまで新聞報道や放送などでは散発的に伝えられていたが、これを機に一般の関心も集めることになりそうだ。

 27日の読売新聞朝刊総合面の特集記事「政府計画ガス欠の恐れ」が、全体状況を分かりやすく解説している。

 経済産業−石油業界、と環境省の対立に、農林水産省がからんだ三つどもえの状況にあることは、これまでの報道からも推測されていた。読売の記事によると、「(環境省が推す)『E3方式』包囲網は広がる一方だ」という。「当初はE3方式を主張していた農林水産省も、国産バイオエタノールの販売先確保のため、ETBE方式になびいている」。つまり、石油業界よりに傾きつつある、ということらしい。

 E3というのは、バイオエタノールをガソリンに直接混ぜる方式で、エタノールを3%混ぜるからE3という。読売の記事によると、米国では、エタノールの混合率が10%のE10が増えており、バイオエタノール先進国、ブラジルに至っては、混合率が20〜25%のE20〜25が主流で、中には100%エタノールも流通しているという。

 一方、ETBEは、「バイオエタノールを石油ガス(イソブテン)と化学反応させた液体燃料」で、このETBEをガソリンに混ぜるのがETBE方式だ。「国内の8割以上を傘下に置く」石油連盟は、ETBE方式を支持し、E3方式に反対している。従って27日に首都圏のガソリンスタンドで試験販売が始まったのは、ETBE方式(エタノールの含有率3%)の方だ。

 ETBEが製造費用の面で、E3などエタノール直接混合燃料に比べ遜色がないとすれば、どんなことが考えられるのだろうか。添加するイソブテンが、ほかに有効な利用法がなく、安く手に入るといった理由でもあるのだろうか。読売新聞の記事によると、むしろETBE方式によるバイオエタノールの国内生産・供給量には限りがあるという。「石油精製時にできるイソブテンの量は少なく、『その量から逆算すると40万キロ・リットルが限界』(環境省)」だ、と。

 石油業界がE3に「反対する最大の理由は設備費だ」という。「各ガソリンスタンドの直前の段階で混合させるE3を全国に普及するとなると、施設改造費にETBE方式より数千億円余計にかかる」

 これが理由というなら、分かりやすいが、米国もブラジルも、高い施設改造費をかけてまで、「ガソリンスタンドの直前の段階で混合させる」という方法を採っているのだろうか。(読売新聞の引用は東京版から)

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