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「チーム・クロシオ」が深海の海底地形図づくりで準優勝

掲載日:2019年6月6日

深海の海底地形図を無人で広範囲に素早くつくる――。現代のテクロノジーがいまだに及びにくい深海での測量技術を競う「シェル・オーシャン・ディスカバリー・エックスプライズ」(エックスプライズ財団主催)で、海洋研究開発機構などの「チーム・クロシオ」が準優勝した。参加登録したのは世界の32チーム。その報告会が6月5日、東京都内で開かれた。

写真1 海洋研究開発機構東京事務所で開かれた「チーム・クロシオ」の成果報告会。
写真1 海洋研究開発機構東京事務所で開かれた「チーム・クロシオ」の成果報告会。

海は地球の表面積の7割を占めている。そのうちで詳細な海底地形図ができているのは、全体の1割にすぎない。海の平均水深は約3700メートル。最深部は約1万1000メートル。船上から電源コードを引っ張って動き回れる深さではない。しかも、水中は電波が通らない。信号を送るには音波を使うが、電波を使った遠隔操縦のように自由は利かない。したがって、自分で周囲の状況を判断しながら自動で動き回る潜水艇ロボット、つまり「自律型無人潜水機」に測器を積んで潜る。こうして海底地形図をつくるのが標準形だ。

その腕を世界で競う大会が「シェル・オーシャン・ディスカバリー・エックスプライズ」だ。いくつかのルールがある。競技で指定された海域に支援母船が立ち入ってはいけない。つまり、海域では無人でなければいけない。調査が終わってから48時間以内に海底地形図を提出する。これまでの深海の海底地形調査は、比較的狭い範囲で精密にデータをとることが多かったが、この競技では、500平方キロメートルもの広い海域が指定され、そこで短時間に地形図をつくることを目指す。東京湾の北半分の海底地形図を無人で素早く作製するイメージだという。

「チーム・クロシオ」は、国内の研究機関や大学、民間企業の8組織が協力する約30人の合同チーム。第1ラウンドを通過した9チームのうち棄権などを除く5チームで、2018年11~12月の最終ラウンドを競った。7月末にようやく明かされた競技海域は、ギリシャ南部のカラマタ沖。水深が700~4000メートルくらいのこの細長い海域で、24時間以内に水深4000メートル、面積250平方キロメートル以上の地形を調査し、海底の写真撮影もすることになる。

2機の無人潜水機を使う予定だった「チーム・クロシオ」は、1機が不調で使えず、しかも、残る1機をえい航した海上無人船との切り離しがうまくいかずにやり直すといったトラブルも発生。それでも、悪天候で荒れる海で、海域を行きつ戻りつ、23時間4分かけて13キロメートルあまりの調査を行った。最大潜航深度1021メートル、調査できた範囲は南北33.5キロメートル、東西5キロメートルほどで、当初の課題には応じきれなかった。

写真2 競技で使われた自律型無人潜水機(「チーム・クロシオ」提供)
写真2 競技で使われた自律型無人潜水機(「チーム・クロシオ」提供)
写真3 通信機器を積んだ無人船。自律型無人潜水機と地上施設のあいだで信号を中継する。(「チーム・クロシオ」提供)
写真3 通信機器を積んだ無人船。自律型無人潜水機と地上施設のあいだで信号を中継する。(「チーム・クロシオ」提供)

優勝したのは、米国を拠点とする国際チーム。審査結果の詳細はまだ知らされていないが、「チーム・クロシオ」の共同代表のひとり、海洋研究開発機構の中谷武志(なかたに たけし)技術研究員は、参加32チームもの中から準優勝に至った理由について、「調査した面積や、地形をどれくらい細かくとらえたか、それに、音波信号の処理のしかたなどを総合的に評価してもらえた結果ではないか。欧米の強豪がひしめくなかでの準優勝なので、うれしい」と話している。賞金は100万ドル(約1億800万円)。

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