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浅い眠りを起こす遺伝子が分かった 理研グループ、睡眠障害研究に役立つと期待

掲載日:2018年9月3日

夢を見る浅い眠りの「レム睡眠」を起こす2つの遺伝子を見つけた、と理化学研究所などの研究グループが29日発表した。研究グループは、睡眠障害の病態解明や治療法の開発に貢献できると期待している。研究論文は28日付の米科学誌セル・リポーツに掲載された。

哺乳類や鳥類の睡眠には身体は寝ているのに脳は起きている「浅い眠り」のレム睡眠と、「深い眠り」の「ノンレム睡眠」があり、レム睡眠の時に夢を見たり、この睡眠状態が記憶の定着に関係しているとされている。特にレム睡眠は人間を含む動物にとって重要とされているが、分子、遺伝子レベルでの詳しいことは分かっていなかった。

理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター合成生物学研究チームの上田泰己チームリーダー(東京大学大学院医学系研究科機能生物学専攻システムズ薬理学教授)らは、レム睡眠を司ると考えられている神経伝達物質の「アセチルコリン」に着目。アセチルコリンの受容体となるタンパク質を作るいくつもの遺伝子を欠いたマウスを作り、睡眠状態を詳しく調べた。

その結果、「Chrm1」と「Chrm3」という2つの遺伝子がレム睡眠やノンレム睡眠に関係することが判明。マウスの脳波や筋電図を測定してより詳しく解析したところ、「Chrm1」遺伝子を欠いたマウスは、レム睡眠が約34分、ノンレム睡眠が117分それぞれ減少した。また、「Chrm3」遺伝子を欠いたマウスはノンレム睡眠だけ約153分と大幅に減った。一方、レム睡眠は1回の持続時間が短くなったものの頻度は増えて総量に大きな変化はなかった。さらに両遺伝子を同時に欠失させると、レム睡眠はほとんど検出不可能なほど減少したという。

こうした研究結果から研究グループは、「Chrm1」「Chrm3」という2つの遺伝子が睡眠の量を調節し、レム睡眠を起こすために不可欠であると判断した。このほか、レム睡眠がないように遺伝子操作したマウス、つまり夢を見ないと思われるマウスも生存することが明らかになった、としている。

図  野生型とChrm1/Chrm3遺伝子欠失マウスの睡眠量の比較(提供・理化学研究所)
図 野生型とChrm1/Chrm3遺伝子欠失マウスの睡眠量の比較(提供・理化学研究所)
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