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大腸の病変をAIが高精度に自動検知 昭和大、名古屋大がディープラーニングの手法を活用

掲載日:2018年8月10日

大腸の内視鏡検査の際に人工知能(AI)が平たんなポリープや小さながんを自動検知するシステムを開発した、と昭和大学と名古屋大学の共同研究グループがこのほど発表した。ディープラーニング(深層学習)を活用して医師が見逃しやすい病変を高精度に判別する。国の製造販売承認を得るために2019年度に臨床試験を開始するという。

共同研究グループは昭和大学横浜市北部病院消化器センターの工藤進英センター長、三澤将史講師と名古屋大学大学院情報学研究科の森健策教授らで構成。同グループは、73件の内視鏡検査の合計1000分近くに及ぶ動画を一つ一つの画像フレームに分けて約1800万(フレーム)を対象に十分に診断経験を積んだ内視鏡専門医が大腸のポリープや微小がんなどを診断。そのうちAI学習に適している約20万フレームをAIに学習させた。その際、ディープラーニングの一種で、医療診断に威力を発揮するとされる「3次元畳み込みニューラルネットワーク」の手法を活用した。

大腸病変を学習したAIに50の病変を新たに診断させたところ、47の病変(94%)を検知。このうち従来のAIでは検知が難しい平たんなポリープについても34のうち31(91%)の病変を検知できたという。名古屋大学大学院情報学研究科とサイバネットシステム社(本社・東京都千代田区)は、このAIを、病変検知すると内視鏡画面の隅の色や音で知らせるソフトウエアとして実装し、自動検知システムとして完成させた。

共同研究グループはその後AIに約280万フレームを学習させるなど、自動検知システムの精度を向上させて既に臨床研究を開始した。国の製造販売承認(薬機法承認取得)に向けて来年度には臨床試験を開始する予定という。

大腸の内視鏡検査でポリープを見つけて切除することにより大腸がんへの進行を防止できることから大腸内視鏡検査が普及している。しかしポリープが微小だったり、平たんや平らに近く肉眼では認識しにくい形状だと医師が見逃してしまうケースがあると指摘されていた。

共同研究グループによると、大腸がんに進行するポリープの見落としを1%減らすことで3%の大腸がんを予防でき、開発した自動検知システムによって医師による見落としを軽減できるという。

画像 ディープラーニングの「3次元畳み込みニューラルネットワーク」手法を活用した自動検知システムが内視鏡検査画面の隅を赤くして大腸にポリープがあることを示している(提供・昭和大学と名古屋大学の共同研究グループ)
画像 ディープラーニングの「3次元畳み込みニューラルネットワーク」手法を活用した自動検知システムが内視鏡検査画面の隅を赤くして大腸にポリープがあることを示している(提供・昭和大学と名古屋大学の共同研究グループ)
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