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18年に温室効果ガス削減の実施指針を決定 パリ協定締約国会議が閉幕

2016.11.21

 モロッコ・マラケシュで開かれていた地球温暖化対策の新枠組み「パリ協定」の締約国会議(CMA1)が日本時間19日、温室効果ガスを削減するための実施指針を集めた「ルールブック」を2018年に決める工程表を採択して閉幕した。パリ協定は選挙期間中に米国のトランプ次期大統領が協定離脱を唱えたことから実効性に対して懸念の声も出ているが、CMA1で今世紀末の「脱炭素社会」実現に向け世界が始動する重要な手続きが決まった。

 実施指針はパリ協定に基づいて締約各国の削減目標を検証するために重要。採択された工程表によると、17年にドイツ・ボンで開かれる次期締約国会議で指針作りの進捗具合を確認、内容について議論し、18年の締約国会議で全ての指針を一括採択する。

 パリ協定は発展途上国にも温室効果ガス削減を求めているが、洪水や干ばつなどの気候変動の深刻な影響に対応するためには多額の資金が必要。CMA1では、先進国が途上国向けに拠出する資金額を増やして20年までに官民合わせて年1千億ドルを目指すことでも合意した。

 パリ協定が11月4日に発効後、初の気候変動枠組み条約第22回締約国会議(COP22)がマラケシュで開幕、15日からはCMA1が始まった。COP22に参加した日本関係者によると、COP22会期中に化石燃料への回帰と協定脱退を唱えるトランプ氏が次期米大統領に選ばれて会場内には衝撃が走ったという。しかし国連の潘基文(バン・キムン)事務総長や各国の首脳らは米国に責任ある取り組みを求める会見などを行い、協定の実効性への危機感を背景に各国が結束して交渉を前進させたという。

 CMA1は当初は18年ごろに開かれるとみられていたが、協定が予想より早く発効したためにCOP22に合わせて開催された。批准が遅れた日本はオブザーバー参加だった。

 パリ協定は京都議定書に代わる地球温暖化対策の新しい枠組みで、昨年12月にパリで開かれたCOP21で採択された。今世紀後半に世界の温室効果ガス排出を「実質ゼロ」にし、産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1.5度に抑えることを目指している。締約各国は国別の削減目標に基づいて国内対策を実施し、5年ごとに検証して排出削減目標を引き上げていく。

写真 モロッコ・マラケシュのCOP22、CMA1会場の集まった締約各国の政府代表ら(国連提供)
写真 モロッコ・マラケシュのCOP22、CMA1会場の集まった締約各国の政府代表ら(国連提供)

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