経済産業省は11月30日、核燃料サイクル事業の在り方や、体制の見直しを議論する作業部会を開き、国が監督する認可法人を新たにつくり、この新法人が日本原燃(青森県六ケ所村)に使用済み核燃料の再処理を委託することを柱にした新しい制度案をまとめた。今後、広く国民から意見を公募し、意見内容を加味して正式決定する。政府としては、来年の通常国会に関連法改正案を提出する方針だ。
新しい制度案によると、新法人は、人事や事業計画などで政府が強い監督権限を持つ。原発を所有する電力会社には、再処理費用を拠出金として新法人に支払うことを義務付ける。この案は、電力各社に対し、経営内容に関わらず核燃料サイクル事業費用を確保させ、さらに事業撤退を防ぐ狙いがある。
日本原燃は、原発を保有する大手電力会社が出資する株式会社。原発から出る使用済み核燃料の再処理のほか、ウラン濃縮や低レベル放射性廃棄物埋設、高レベル廃棄物一時貯蔵などで構成される核燃料サイクル事業の中核。しかしトラブルなどにより、運転開始時期は23回延期された。核燃料サイクル事業に関連する分野では、原子力規制委員会が高速増殖原型炉「もんじゅ」の運転主体を見直すよう勧告した。同省は、核燃料サイクル事業の将来像が見通せない事態を打開するため作業部会で議論を続け、5回目となる今回新制度案をまとめた。
関連リンク
- 経済産業省関連サイト「総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会原子力小委員会原子力事業環境整備検討専門ワーキンググループ(第5回)」