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サイバーセキュリティ戦略案決定 パブリックコメント実施

2015.05.27

 政府の「サイバーセキュリティ戦略本部」(本部長・菅義偉官房長官)は25日、新たな「サイバーセキュリティ戦略案」を決定した。同日から6月8日までの2週間、パブリックコメントを実施する。

 戦略案は、「サイバー空間と実空間との融合が高度に深化した『連接融合情報社会(連融情報社会)』が到来しつつある」という認識に立ち、2020 年オリンピック・パラリンピック東京大会と、さらにその先の2020 年代初頭までをにらんだ今後3年程度の基本的な施策を示している。

 まず「安全なIoT(モノのインターネット)システムを活用した事業を振興」「政府系ファンドの活用等により、サイバーセキュリティ関連産業を振興」など、経済社会の活力を向上し、発展させる方策が示されている。続いて、サイバーセキュリティを意識していない利用者が被害を受けるだけでなく加害者にもなり得るサイバー空間の脅威から国民・社会を守る方策が盛られている。「サイバー攻撃等観測システムの連携強化」「攻撃を受けた端末の利用者に対する注意喚起」「サイバー犯罪への対処能力・捜査能力の向上に向けた取り組みの強化」などだ。

 国際社会の平和・安定と日本の安全保障にも関わることとして、「安全保障上重要な先端技術(宇宙関連技術、原子力関連技術、セキュリティ技術、防衛装備品に関する技術等)に関わるサイバーセキュリティの確保」も盛り込まれている。「サイバー空間における国際テロ組織の活動等に関する情報の収集・分析の強化」など日本独自の対策に加え、世界各国との具体的な協力の方向も示されている。

 戦略本部は同日、内閣サイバーセキュリティセンターと情報通信研究機構との間で、情報通信関連のセキュリティ技術情報の共有、研究開発戦略の推進に関する協力、2020 年オリンピック・パラリンピック東京大会などに向けたサイバーセキュリティ技術に関する協力などを行う協定を締結したことも明らかにした。

 これは、戦略案が重視する「サイバーセキュリティの研究開発と、研究成果の社会還元の推進」に沿っている。情報通信研究機構も同日、協定締結を公表し、ネットワークセキュリティ技術に関する研究成果の社会還元を行うことで、一層の情報セキュリティ対策の向上を目指す意思を明らかにした。

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