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小惑星への衝突の証拠を隕石で発見

掲載日:2014年7月16日

小惑星で3番目に大きいベスタ由来と考えられているHED隕石から、高い圧力下で形成されたシリカの高圧相を、広島大学大学院理学研究科の宮原正明准教授、東北大学大学院理学研究科の大谷(おおたに)栄治教授、小澤信(おざわ しん)助教、国立極地研究所の山口亮(あきら)助教らが世界で初めて発見した。小惑星ベスタが激しい天体衝突を経験したことを示す証拠で、太陽系の歴史をひもとく手がかりといえる。7月15日、米科学アカデミー紀要のオンライン版に発表した。

NASAの探査機ドーンが2011、12年、小惑星ベスタに接近して鮮明な写真を送ってきた。ひずんだ球形(直径460~580km)のベスタの表面には多数のクレーターが存在した。この探査結果などから「約10億年前に起きた天体衝突でベスタに巨大なクレーターが形成され、その際に弾き飛ばされたベスタ表層物質が地球にHED隕石として飛来した」と推測されていた。

天体衝突時に発生する超高圧力・高温に伴って生じる高圧相はこれまで、HED隕石から見つかっていなかった。研究グループは、この空白を埋めるため、1924年に西アフリカのブルキナファソに落下したHED隕石のひとつ、ベレバ隕石のかけら2グラムを入手して研究した。電子顕微鏡や集束イオンビーム加工装置による最新のナノ分析技術を駆使して、この隕石にシリカの高圧相を見いだした。

解析結果から、シリカの高圧相は8~13万気圧もの力を受けていたことがわかった。このような超高圧状態をつくりだせるのは天体衝突だけしか考えられないという。シリカの高圧相と放射年代を考慮すると、HED隕石に記録された天体衝突は41億年前で、「ベスタの巨大クレーターの形成時期が約10億年前」とみてきた従来の説とは一致しなかった。HED隕石の起源と地球への飛来プロセスの研究に見直しを迫る結果になった。

太陽系は46億年前に誕生し、初期には激しい天体衝突が起きた。38~41億年前は、月へ多数の天体が集中的に衝突した時期とされ、後期隕石重爆撃期と呼ばれている。今回、HED隕石で見つかった41億年前の衝突の痕は、月だけでなく、小惑星など太陽系のさまざまな天体で、隕石の重爆撃が起きたことをうかがわせる。

研究グループの宮原正明広島大学准教授は「小惑星の進化過程を解き明かす物的な証拠を見つけた。太陽系内で天体が衝突を繰り返しながら起こした軌道の進化をたどる手がかりにもなる。さまざまな隕石に記録された衝突の痕跡を探って、太陽系の天体衝突史を解明したい」と話している。

ベレバ隕石から発見されたシリカの高圧相の電子顕微鏡写真
写真. ベレバ隕石から発見されたシリカの高圧相の電子顕微鏡写真
(提供:宮原正明広島大学准教授)
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