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ナスカにリャマ17頭の地上絵あった

2014.05.09

 世界遺産「ナスカの地上絵」は調べればまだいっぱいあるのだろうか。ペルーのナスカ市街地から1キロ北にある丘の斜面に、ラクダ科のリャマとみられる地上絵が少なくとも17頭あることを、山形大学ナスカ研究所の坂井正人教授らは5月8日、発表した。2013年度の調査で確認したもので、4つのグループに分かれて分布している。このうち第1グループ12頭はこれまで一部が知られていたが、数、大きな差、位置が今回はっきりした。残る3グループ5頭は初めての報告となった。

 制作時期は紀元前400〜紀元前200年とみられ、よく知られているハチドリやクモの大きな地上絵より古い。リャマは当時から家畜として使われて、古代ペルー人には身近な存在だった。現地調査した坂井教授らは「これらのリャマの地上絵はナスカ市街地から近い。近年の開発で居住地や畑が広がってきており、破壊される危険性がある。保護するためにも地上絵の存在を現地の人々に知ってほしい」と訴えている。ペルー文化省の担当者に現場で説明し、報告書を提出している。

 航空写真と、リャマの地上絵をトレースした加工写真、地上絵の線画を同時に公開した。リャマの形に沿って小石を除去して制作されていた。大きさは3〜15メートル。最も大きい15メートルの地上絵は第3グループに属し、北東にある丘の斜面に1頭だけあった。

 ナスカ地上絵の研究は2004年に山形大学人文学部のプロジェクト研究として始まり、新しい地上絵を相次いで発見してきた。研究をさらに進めるため、山形大学は2012年、ナスカにナスカ研究所を開所して、現地調査を強化していた。

今回発見されたリャマ地上絵のなかで最大の第3グループの写真
今回発見されたリャマ地上絵のなかで最大の第3グループのトレースした加工写真
今回発見されたリャマ地上絵のなかで最大の第3グループの線画
写真1. 今回発見されたリャマ地上絵のなかで最大の第3グループの写真と、トレースした加工写真、線画
ナスカ市街地とリャマの地上絵の位置関係を示した衛星写真
写真2. ナスカ市街地とリャマの地上絵の位置関係を示した衛星写真。(いずれも提供:山形大学)

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