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研究不正への対応で有識者議員意見書

2014.04.15

 研究不正問題への適切で有効な取り組みが大きな課題になってきた。政府の総合科学技術会議が4月14日開かれ、議長の安倍晋三首相が「研究不正の頻発はわが国の研究開発力の基盤をむしばむもので大変遺憾」と指摘し、研究不正防止策の検討を指示した。会議には、大西隆・日本学術会議会長ら有識者議員8人が連名で意見書「研究不正問題への対応に向けて」を提出した。

 意見書は「科学技術研究は、人類の長い歴史の中で脈々と積み上げてきた叡智を受け継ぎ、発展させる営み」として、「研究不正は、社会が科学に託した夢と希望、信頼を裏切る重大な背信行為で、決して容認されない」と研究者に訴えている。

 さらに「研究者はその自由な発想を追求し情報発信することは、尊重されねばならない」とする一方、「研究活動環境としてより自由や独立性が認められていればいるほど、研究倫理の遵守や研究内容への説明責任について、より重い責任が研究者個人に問われて、しかるべきである」と強調している。

 研究不正の抑止に向けては、(1)各研究者による研究倫理の習得涵養・遵守 (2)組織レベルで研究不正が起こりにくい仕組みづくり (3)研究不正発生時に適切な対応が取れる体制の整備—を挙げた。国全体の問題として捉えるよう提言した。

 また、STAP細胞論文の疑義については、さまざまな論点が錯綜したまま、議論が白熱していることに懸念を表明した。論文の不正行為の有無、STAP細胞の存在に関する科学的問題、理化学研究所の対応の問題などが「混在したまま、議論や批判が行われているように思われる」として、冷静で建設的な検討を行うよう求めた。

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