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神岡に重力波望遠鏡のトンネル掘削完了

掲載日:2014年4月7日

人類が重力波を直接観測できる日はいつくるのか。東京大学宇宙線研究所が岐阜県飛騨市神岡町の旧神岡鉱山の地下で建設している大型低温重力波望遠鏡KAGRA(かぐら)のトンネル掘削が3月末に完了した。このトンネルは200メートルより深い地下に掘られ、3キロの直線がL字型に交差する2本のトンネルからなる。誘導トンネルを含めると総延長は7.7キロに及ぶ。今後は、トンネル内にレーザー干渉計の構築を経て、2015年末に最初の試験観測、17年度には連続観測を始める予定と、研究グループが発表した。

重力波はアインシュタインがほぼ1世紀前に一般相対性理論で予言した。「重力場が起こす時空のごくかすかなさざ波」で、光速で伝わる。重力波による2点間の距離の伸縮はせいぜい、太陽と地球の間の距離を水素原子1個分変化させる程度にすぎず、まだ誰も直接に観測していない。その直接観測は、物理学や天文学の長年の宿願である。

同じような大型レーザー干渉計による重力波観測計画は欧米で進んでいる。KAGRAは世界で唯一、地下に建設される超高精密な長さ計測装置の大型重力波望遠鏡で、より優れた感度で初めての直接観測を目指している。地下の環境は、重力波の信号の邪魔をする地面の振動が地表に比べて100分の1と低い。それがKAGRAの強みで、トンネルは世界最高の感度達成に欠かせない。

KAGRAの計画は10年に始まり、トンネル掘削は12年から鹿島建設によって行われた。大量の湧き水に何度も阻まれたが、最新工法で硬い岩質を掘って、月間359メートルの国内最高掘進記録を達成するなど、高い技術で無事に完工した。装置本体を入れる片側3キロの2本のトンネルには、地下の湧き水を流すため、0.3%の傾斜がつけられている。高さ、幅がともに4メートルで、ダンプ1台が通れるくらい。レーザー干渉計を設置したあとは、内部の移動に電気自動車の使用を考えている。

総額約155億円を投じるKAGRA計画は、極限的な精密測定技術の粋を集めた検出器の開発、設置、調整、改良に焦点は移った。うまくいけば、ブラックホール連星の合体などから出る重力波を年に数回捉えられる可能性がある。実験物理学者の腕が問われている。奥飛騨の山々に囲まれた旧神岡鉱山には、小柴昌俊東京大学名誉教授らが始めたニュートリノ検出装置など多様な実験が並行して進んでおり、現代物理学で最も有名な地下実験観測施設群になっている。

KAGRAのプロジェクトには、東大宇宙線研究所を中心に、高エネルギー加速器研究機構、国立天文台など国内28機関155人、国外3機関76人が参加している。研究チームを率いる梶田隆章・東大宇宙線研究所所長は「トンネル工事は頑張って予定通り、終えることができた。これから複雑なレーザー干渉計の製造、設置を突貫工事で進め、15年末の試験観測を目指す。外部の人からは『ミッションインポシブル』と言われるくらい、厳しい日程で、山あり谷ありと思うが、重力波の観測は重要なテーマなので、ぜひ実現したい」と意欲を見せている。

神岡に建設中のKAGRAの全体像
図1. 神岡に建設中のKAGRAの全体像
各3キロの2本の腕を持つレーザー干渉計
 
2012年12月のL字型分岐点のパノラマ写真
図2. 2012年12月のL字型分岐点のパノラマ写真
 
直線に3キロ延びるKAGRAのトンネル
図3. 直線に3キロ延びるKAGRAのトンネル

(提供:KAGRAチーム)

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