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化学遺産に櫻井錠二の資料など6件

掲載日:2014年3月17日

日本化学会は、「化学遺産」として、「日本の近代科学の父」とされる櫻井錠二の関連資料など6件を新たに選んだ。化学遺産の認定作業は化学と科学技術に関する貴重な歴史資料の保存と利用を推進するため、2010年から始まった。今年が5回目で、計28件となった。広く公募し、化学遺産委員会(委員長・植村榮京都大学名誉教授)が実地調査などもして、選考した。3月27~30日に名古屋大学で開催する日本化学会で、認定証を関係者に贈り、顕彰する。また、会期中の3月29日に名古屋大学で化学遺産市民公開講座を開き、今回の化学遺産を紹介する。植村委員長は「当時としては最先端の資料で、偉大な先輩たちの業績が凝縮されている。遺産として大事に保管して、次世代にも伝えたい」と話している。
今回認定された化学遺産は次の通り。

「日本の近代化学の礎を築いた櫻井錠二(1858~1939年)に関する資料」1876年に第2回海外留学生に選ばれ、18歳でロンドン大学に留学した際、最初の化学の期末試験で1等賞になり、授与された金メダルなど櫻井の軌跡を示す資料。東京大学教授、帝国学士院長も歴任。創設に寄与した日本学術振興会の設立趣意書や直筆原稿も含む。

「エフェドリンの発見や女子教育に貢献のあった長井長義(1845~1929年)関連資料」日本の薬学の父とされる長井は1871年、明治政府の派遣留学生としてベルリン大学に学び、帰国後、東京大学教授として化学と薬学を指導した。麻黄の薬効成分を単離し、エフェドリンと名付けて、その合成法も確立。女子教育や製薬業の発展にも尽くした。

「旧第五高等学校化学実験場と旧第四高等学校物理化学教室」五高の化学実験場は1889年に建設されて、熊本大学に継承され、今も昔のまま保存、活用されている。四高の物理化学教室は1890年に金沢で建設され、金沢大学から1965年、愛知県犬山市の明治村に移築・復元された。いずれも実験が重視されていたことを示す貴重な資料。

「科学技術者の先駆け宇都宮三郎(1834~1902年)の資料」尾張藩士だった宇都宮は幕末に化学技術を習得し、幕末から明治維新にかけての激動期を生きぬき、江戸時代の「舎密(せいみ)」ではなく「化学」という言葉を使うよう提言した。明治政府の工部省で産業近代化を進め、セメント、炭酸ソーダなどを国産化し、多くの化学産業の創出に貢献した。

「日本のプラスチック産業の発展を支えたIsoma(イゾマ)射出成形機と金型」ドイツ製射出成形機は1943年に旧ドイツ軍の潜水艦Uボートで金型とともに欧州から運ばれ、戦後のプラスチック産業の急速な発展を支える原点となった。そのドイツ製射出成形機は現存する日本最古の成形機で、現在は旭化成に、金型は積水化学工業に保存されている。

「日本初のアルミニウム生産の工業化に関わる資料」昭和に入ってアルミニウム地金の輸入が急増して国産化への要望が高まった。昭和電工は1934年、長野県大町市で電解精錬による日本初のアルミニウムの工業的生産に成功した。昭和電工大町事業所などには国産初のアルミニウム塊が保存されており、日本の化学工業の発展を示す重要な資料である。

トシリズマブ投与の治療前後の年間再発数の変化
写真. 今年、化学遺産に認定された6件の資料類
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