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カメはトリ・ワニ・恐竜の親戚だった

2013.04.30

 進化的に「トカゲやヘビに近い?」などの諸説があったカメ類は、ワニやトリ、恐竜に近い起源を持つことが、理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの倉谷滋グループディレクターらと中国、英国などの国際チームの研究で分かった。米科学誌「ネイチャー・ジェネティクス(Nature Genetics)」(オンライン版、28日)に発表した。

 研究チームは、スッポンとアオウミガメのゲノム(全遺伝情報)を解読した。その結果、ゲノムサイズはいずれも約22億塩基対でヒトゲノムの3分の2の大きさ、遺伝子の数はいずれも約1万9000個と、ヒトとほぼ同じ数だった。これらカメ類の1,113遺伝子について、ヒトやニワトリ、メダカ、ワニなどの他の10種類の脊椎動物と比較したところ、カメ類はワニやトリ、恐竜に近い起源を持つことが分かった。

 さらにカメ類の祖先がワニやトリ、恐竜の「主竜類」から分岐したのは約2億5,000万年前と推定された。この時期は、地球上の生物の90%以上、脊椎動物では80%以上の科が絶滅したとされる「生物大量絶滅期」(P-T境界)の前後に当たっており、この時期に出現したカメ類が独自に進化の道を歩み始めたものとみられる。これまで、カメ類の起源については、は虫類進化の初期に分岐したとする説や、トカゲやヘビなどの「鱗竜類」に近いグループだとする説があった。

 また今回のゲノム解析で、嗅覚受容体をコードする遺伝子がアオウミガメで254個、スッポンで1,137個発見された。これほどの数の嗅覚受容体が哺乳類以外の脊椎動物で発見されたのは初めてで、特にスッポンの場合は、イヌ(811個の嗅覚受容体)よりも潜在的に高い嗅ぎ分け能力を持つ可能性を示しているという。ちなみにヒトの嗅覚受容体の数は396個、ラットは1,207個持っている。

推定されたカメの出現時期(提供:理化学研究所)
推定されたカメの出現時期(提供:理化学研究所)

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