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〈トピックス〉科学と経済学の融合展「おかね道」

2013.03.12

 来館者自らが“実験”に参加し、自分自身のお金の使い方を“科学する”、異分野融合の企画展「波瀾万丈!おかね道(どう)—あなたをうつし出す10の実験」 が、日本科学未来館(東京都江東区)で始まった。行動経済学の第一人者、大阪大学社会経済研究所の大竹文雄教授(付属行動経済学研究センター長)を中心に国内外の大学や研究機関の経済学、脳科学、心理学、物理学などの研究者ら24人が監修協力した参加型企画展で、「自分のお金の使い方の“クセ”を知り、今後の生活に生かして行くための心構え“おかね道”を身に着けてほしい」という。

 同館1階の展示ゾーンに作られた「おかね道の町」。ここに10カ所の実験場が設けられ、来館者は“町民”となって各実験場を回り、ゲーム感覚で、お金の使い方の実験に参加する。それぞれの実験は、実際の研究で用いられている手法をベースにしたもので、(1)実験の実践(2)結果のタネ明かし(3)日常生活や社会への生かし方——の3ステップを踏みながら、参加者のお金に対する行動特性を浮き彫りにする。

 例えば、直感的な判断(ヒューリスティクス)の実験場では、「ただでもらえるなら、どちらがいいですか? 当選確率10,000分の1の宝くじ1枚、当選確率100,000分の1の宝くじ5枚」などの設問がある。実験結果が「直感で決めやすい」傾向ならば、振り込め詐欺や架空請求詐欺などに「ご注意を」とアドバイスしてくれる。

 また、現在バイアス(目先偏重)の実験場では、「もらうなら、どちら? A:1年後に1,000円、B:1年と1週間後に1,400円」さらに「A:今1,000円、B:1週間後に1,400円」との設問でAかBを選ぶと、その結果から、参加者の目の前の楽しさに対する「弱さ」や「がまん強さ」などの性向が分かるという。選択時に脳内で働く部位や脳内物質セロトニンの影響についても教えてくれる。

 そのほか、紙芝居を用いて「ご褒美とやる気」の関係を探る実験場や、イソップ寓話『すっぱいブドウ』のように満足と不満足の感情がすり替わる「認知的不協和」についての実験場、リスク判断における損失回避傾向についてのカジノ風実験場などもある。

 同展は6月24日(月)まで。関連イベントとして4月6日(土) 14時からは、元・陸上男子400メートルハードル選手の為末大氏と大竹文雄教授によるトークイベント「入門!おかね道」(要申込)も開かれる。

あなたの「損失回避傾向」をみるカジノ風実験場
あなたの「損失回避傾向」をみるカジノ風実験場
”町の公園”で行われた「ご褒美とやる気」の紙芝居実験場
”町の公園”で行われた「ご褒美とやる気」の紙芝居実験場

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