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天候に左右されない流氷観測手法

掲載日:2013年3月4日

北海道大学低温科学研究所の藤吉康志教授や気象庁気象研究所などの研究グループは、オホーツク海沿岸に設置したドップラーレーダーを用いて、天候に左右されずに流氷域を検出し、高精度で流氷の動きを捉える手法を開発した。南氷洋や今後開拓が予想される“北極海航路”の安全航行などに貢献することが期待されるという。

オホーツク海の流氷について同研究所は、それまで監視を続けていた北海道紋別市の付属流氷観測施設が2004年に廃止されたため、06年からは同市内に設置したドップラーレーダーで監視を行っている。同レーダーは、放射した電波の周波数と、流氷や雨(雪)雲によって反射してきた電波の周波数の違い(ドップラー効果)などから、それらの動きや上空の風向などを分析して画面に表示する。

研究グループは今回、流氷などから散乱される電波の強度以外に、流氷の「ドップラー速度」や「ドップラー速度幅」というデータを組み合わせることで、海上の波やしぶきによる散乱現象(シークラッター)の影響を除去し、さまざまな気象条件下でも高い精度で流氷の移動速度や渦回転などを短時間で測定し、移動を予測することを可能にした。

現在の流氷監視では、日米加の衛星データを基にした気象庁の情報、海上保安庁の観測船と航空機による観測情報が公式なデータとなっている。しかし、衛星観測は1日1、2回に限られ、衛星搭載の可視波長利用の高分解能センサーは昼間しか機能せず、雲のない海域しか観測できない。またマイクロ波放射計による観測も空間分解能が粗く、風が強い時にはシークラッターが大きな誤差をもたらすため、衛星観測にはいまだ課題が残されているという。

研究論文Sea Ice Identification and Derivation of its Velocity Field by X-band Doppler Radar(ドップラーレーダーを使った海氷の検出とその流動速度の測定手法の開発) は、米国気象学会誌「Journal of Atmospheric and Oceanic Technology」(1月31日)に掲載された。

流氷がオホーツク海沿岸に接近した2013年1月19日14時05分の、荒天時の観測例 流氷がオホーツク海沿岸に接近した2013年1月19日14時05分の、荒天時の観測例
流氷がオホーツク海沿岸に接近した2013年1月19日14時05分の、荒天時の観測例
(提供:北海道大学低温科学研究所)
左図のレーダー反射強度(従来の観測手法)のみでは海水面と流氷の区別ができないが、
新手法を用いた右図では、流氷域(海上の白い領域、それ以外は海水面)が見事に検出されている
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