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ミカンが閉経後の骨粗しょう症を防止!?

2012.12.27

 ミカンをよく食べている閉経後の女性は骨粗しょう症になりにくいことが、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)果樹研究所による浜松市北区の旧・三ヶ日町の地域住民457人(男146人、女 311人)を対象とした4年間の追跡調査で明らかとなった。

 同研究所は浜松医科大学と共同で、温州ミカン(三ヶ日ミカン)の生産が盛んな同地区住民を対象とした栄養疫学調査(三ヶ日町研究)を2003年度から行っている。温州ミカンに特徴的に多く含まれるカロテノイド色素の一つ「β(ベータ)-クリプトキサンチン」の血中濃度と、骨粗しょう症の発症リスクとの関連について調べた。カロテノイド色素は果物や野菜に含まれる抗酸化物質で、摂取によって骨密度低下の予防効果があるとされる。

 その結果、骨粗しょう症の発症リスクは、血中β-クリプトキサンチンが低濃度のグループ(ミカンを毎日1個食べるか、食べないかの人たち)を1.0とした場合、高濃度のグループ(ミカンを毎日4個程度食べる人たち)は0.08となり、92%も低いことが分かった。ビタミンやミネラル類の摂取量などの影響を取り除いても、この傾向がつかめた。

 また、調査開始後に新たに骨低下症や骨粗しょう症を発症した閉経女性は、調査開始時における血中β-クリプトキサンチン濃度が、骨低下症では1.59 μM(マイクロモーラー)、骨粗しょう症では1.16 μMと、健康な人(平均値1.94 μM)よりも、統計的に低くかったことが分かった。

 今回調査した6種類のカロテノイド色素(リコペン、α-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチン、ルテイン、ゼアキサンチン)のうち、骨粗しょう症の発症リスク低減と有意な関連が認められたのはβ-クリプトキサンチンのみだった。男性や閉経前の女性には、こうした関連はみられなかったという。

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