ニュース

慶應義塾大学生は科学に対する興味大幅増加

2012.09.06

 慶應義塾大学の1、2年生は文系理系を問わず10年前と比べて自然科学、特に天文学と物理学を中心とする科学用語の知識が大幅に増え、より興味を持つようになったことが、5日公表された加藤万里子・理工学部教授と小林宏充・法学部日吉物理教室教授の調査結果から明らかになった。

 2000年に一部先行実施、2002年に完全実施された小中学校学習指導要領によるいわゆる「ゆとり教育」の結果、基礎学力低下と理数離れが進んだという指摘がよく聞かれる。今の大学1、2年生の大半は、小学低学年から中学、高校を通して「ゆとり教育」を受けた生徒たちということになるが、慶應義塾大学生に関しては理科離れの心配はない、という調査結果になった。

 加藤、小林両氏の調査は、1992年に初めて実施した後10年ごとに行われ、今回が3回目となる。主な科学用語36について「知っているか」「興味があるか」を聞いたほか、「科学の最新知識を得る媒体」や「新聞の科学欄を読むかどうか」などについて調べた。文学、経済学、法学、商学部の1、2年生と理工学部の1年生計824人から回答を得ている。

 科学用語では、「ダークマター」「ニュートリノ」「カーボンナノチューブ」などについて知っているという学生が増え、特に10年前にこれらの用語を知っている文系学生は数%からせいぜい10%程度だったのが、20数%から40数%に大幅に増えている。

 このほか「ビッグバン」「宇宙膨張」「ブラックホール」「超新星」「一般相対性理論」「遺伝子組み換え」「人工知能」「国際宇宙ステーション」「地球温暖化」「メルトダウン」といった用語も「興味がある」と答えた学生が10年前に比べ、大きく増えている。

 「10年前と比べて、科学に対する興味が格段に広がり、興味を持たれる時代になった一般社会の動向を反映していると言える」と、加藤教授らは言っている。

関連記事

ページトップへ