ニュース

進化しても残っていた頭蓋骨

2012.08.16

 ヒトやウシ、イヌなどの哺乳類の頭蓋骨は約20個の骨で構成されているという。これは、はるかに多くの骨で構成されている祖先的な爬虫類や魚類から哺乳類が進化する過程で、いくつかの骨が失われ、構造が単純化したものと考えられていたが、京都大学やドイツのチュービンゲン大学、スイスのチューリッヒ大学の研究によって、すべての哺乳類の胎子期の頭蓋骨には残っており、成長に伴って他の骨に癒着し、数が減ったかのように見えていたことが分かった。

 京都大学総合博物館・日本学術振興会特別研究員の小藪大輔さんらは国内外の自然史博物館に収蔵されている学術標本を調べ、300種以上に及ぶ現生哺乳類の胎子期の発生記録と化石記録を分析したところ、これまで進化的に失われたとされてきた「頭頂間骨」と「板骨」が、すべての哺乳類の胎子期に存在していることが分かった。これらの骨は成長に伴って、隣接する「上後頭骨」に癒着していたことも確認できたという。

 今回の研究は「脊椎動物の骨格の進化に関する従来の定説を覆し、生物学の教科書を書き換える画期的な成果だ」と小藪さん。と同時に「科学研究における博物館の存在意義を大きく示すものだ」と語っている。研究論文は「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に14日掲載された。

ページトップへ