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被災農地の除塩に電磁探査法を活用

2012.07.23

 東日本大震災で海水が浸水した農地の土壌塩分濃度などの迅速な計測に、地下の環境汚染調査や遺跡調査などに使われている電磁探査法が有効であることが、農 業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)・東北農業研究センターの試験調査によって分かった。GPS(衛星利用測位システム)の位置情報と合わせること で塩害の分布が把握でき、地下土壌への影響範囲も容易に知ることができることから、いまだに広く残されている農地の除塩作業に活用が期待される。

 電磁探査法は、長さ約2メートルの板状の装置を地面から1メートルの高さで水平に保持して歩き、装置の先端部から発生する1次磁場と土壌中の渦電流によっ て発生する2次磁場の計測値から、土壌電気伝導度(EC)を推定する仕組み。計測結果は測定と同時に装置のディスプレイに表示され、メモリーカードにも保 存される。

 同センターが宮城県内で行った試験調査では、電磁探査装置によって、海水浸水の農地におけるECの相対的な高低差が把握でき、直接土壌から測定する従来の 土壌ECセンサによる測定値と同じ傾向を示した。さらに測定と同時にGPSによる位置情報を合わせることで、Google Earthなどの地図上に測定結果を等高線で示し、田畑での塩害の広がりや分布が把握できた。地下の土壌についても深さ1メートル程度まで測定できること が分かった。

 東日本大震災では、太平洋側の2万ヘクタールを超える農地が津波による浸水被害を受けた。除塩作業のために行われている従来のEC測定法では、土壌採取か ら測定までにかなりの労力と時間を要していた。今後はさらに、除塩作業後の効果や経過などのモニタリングも必要となることから、装置のリースも含めて、電 磁探査法の活用を広げていきたいという。

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