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科学者・技術者への信頼低下 科学技術白書が指摘

2012.06.20

 「2012年版科学技術白書」が19日、閣議決定された。東日本大震災を機に、科学者、技術者に対する日本国民の信頼感が急激に低下したことがあらためて指摘されている。

 白書が引用している文部科学省科学技術政策研究所の「月次意識調査」によると、「科学者の話は信頼できると思うか」との問いに対する答えは、震災4-5カ月前の2010年10-11月時点で、「信頼できる」が15.9%、「どちらかというと信頼できる」が68.6%と合わせて84.5%に達していた。

 ところが震災2-3カ月後の昨年5-6月になると、「信頼できる」が5.8%、「どちらかというと信頼できる」が60.5%を合わせて66.3%と、約18ポイントも低下している。

 同様の変化が「科学技術の研究開発の方向性は、内容をよく知っている専門家が決めるのがよい」という考え方に対する回答にも現れていた。震災前の2009年11月に電力中央研究所が調査した結果では、「そう思う」59.1%、「どちらかというとそう思う」19.7%と合わせて78.8%に達していたのが、昨年12月の科学技術政策研究所の調査では「そう思う」19.5%、「どちらかというとそう思う」25.5%を合わせて45.0%に激減している。

 こうした結果について白書は「国民の科学者・技術者に対する信頼感が低下し、研究開発の方向性の決定を専門家のみに任せておけないと考えている国民が激増しているのに比して、専門家一般はそこまで深刻に捉えていないように見える」と指摘している。

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