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北海道-千葉沖に大規模な津波観測網

2012.03.30

 防災科学技術研究所(茨城県つくば市)は、北海道東方沖から千葉県房総沖に至る太平洋の海底154カ所に地震計と津波計(水圧計)を配備し、リアルタイムで地震活動や津波の発生などを検知する観測網の整備事業に着手することを発表した。日本海溝周辺の同地域では昨年3月11日の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震〈M9.0〉)後も、大規模な海溝型地震や津波が予想されている。観測網の整備により、これまでの陸域だけでの観測に比べ、地震動を最大で20-30秒早く検知し、津波の発生も20分程度早くキャッチできるようになるという。

 地震計と津波計などからなる観測点(観測ユニット)を光ファイバー海底ケーブルで連結し、観測データを地上局に伝送する仕組み。計画では、日本海溝西側を「十勝・根室沖」「青森・日高沖」「宮城・岩手沖」「茨城・福島沖」「千葉沖」の5海域に分け、各海域に25個の観測ユニットを25キロメートル間隔で設置する。さらに、北海道根室沖から房総沖にかけての日本海溝東側にも、観測ユニットを50キロメートル間隔で設置した1本の海底ケーブルを敷設する。総工費は約330億円。2014年度の完成を目指し、得られた観測データは気象庁による津波警報や情報に役立てられる。

 なお、西日本の太平洋沖で発生が予想される「東南海地震」については、想定震源域内の紀伊半島・熊野灘の約100キロメートル四方の海域に20カ所の観測点(地震計や水圧計)を設けた海底ケーブルネットワーク型観測システム「地震・津波観測監視システム(DONET)」を、文部科学省の委託で海洋研究開発機構(JAMSTEC)が整備し、2011年8月26日から防災科学技術研究所、気象庁に観測データの提供を始めている。その西側の海域で想定される「南海地震」についても、和歌山県・潮岬と高知県・室戸岬に挟まれた紀伊水道沖の海底に、31カ所の観測点からなる観測網(DONET2)を構築する事業も2010年度から進行中だ。

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