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汚染放射能の空間線量は道路では30%の減少率

2012.03.22

 東京電力福島第一原発事故で放出された放射性物質による空間線量は、東北地方の太平洋側から関東地方にかけての道路上では半年間に30%近く減少していることが、文部科学省の走行調査で分かった。放射性物質のうち特に空間線量への寄与率が高い放射性セシウムの半減期を基にした減衰率は半年間で10%程度であることから、これよりも3倍も減衰が速い。「道路上に沈着した放射性物質が降雨によって流されたり、走行する車のタイヤに付着するなどして移動したため、道路上での空間線量が少なくなった」と推定されるという。

 調査は、航空機モニタリングの測定結果(昨年11月5日換算)で年間1ミリシーベルトに相当する比較的空間線量率の高い地域(毎時0.2マイクロシーベルト相当)を中心に、昨年12月5-28日に「走行サーベイ」(車内に測定器を搭載し、地上に蓄積した放射性物質からのガンマ線を測定する手法)によって道路上の高さ1メートルでの空間線量率を連続的に測定した。

 同省が昨年6月に行った第1次走行サーベイの結果と今回の75,394カ所での結果を比べたところ、平均で30%近く空間線量率が減少していることが確認された。さらに福島市から群馬県桐生市に至る東北自動車道-北関東自動車道に沿った帯状の地域で、空間線量率が毎時0.5-1.0マイクロシーベルトと比較的数値の高い地域があり、さらに茨城県水戸市から東京都東部までの常磐自動車道に沿った帯状の地域でも、空間線量率が毎時0.2-0.5マイクロシーベルトの線量域が見つかった。

 道路周辺の土地利用の違いごとに比較したところ、スギなどの常緑樹が周辺にある道路では、他の落葉樹や草地、畑地、水田、都市部の道路よりも、空間線量率の減少傾向が小さいことも分かった。常緑樹では、樹冠などに付着した放射性物質が雨や風によって他所に移行しにくいためと考えられるという。

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