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政府の対応に厳しい評価 福島原発事故独立検証委員会

2012.02.29

 28日報告書を公表した福島原発事故独立検証委員会の北澤宏一委員長(前科学技術振興機構理事長)は、同日記者会見し、菅直人首相(当時)の福島第一原発事故対応について、東京電力が現場から作業員を撤退させる意向を示した際に東電に乗り込み、撤退を許さない姿勢を強く示して最悪の事態を回避したことを「首相の最大の功績」と評価した。同時に、現場の作業に過剰な介入をしたことについては「ほとんど効果がなかった」と厳しい評価を下した。

 首相を支えるべき原子力安全・保安院と原子力安全委員会の存在が希薄で、正確な情報を収集できなかったことが首相の疑心暗鬼を生んだという認識を示し、原子力安全委員長が原子力発電の推進側から選ばれてきた従来のやり方を見直し、かつ法律によって委員会がきちんと機能せざるを得ないようにすることの必要も強調した。

 記者会見に同席した委員の1人である但木敬一氏(弁護士、元検事総長)も、事故以来、東京電力ばかりが国民に頭を下げていることに疑問を投げ掛けた。氏は、私企業がコスト意識から逃れられない現実と原子力災害に対する国の責任を強調し、国が自らの誤りを認め立ち直らない限り「原子力の将来はない」と言い切った。

 遠藤哲也委員(元国際原子力機関理事会議長)は、日本の原子力関係者が外国からの助言に耳を貸さない体質を持つことを繰り返し指摘し、「原子力発電を導入したころの謙虚さを持つべきだ」と批判した。

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