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肺がんの原因となる新たな融合遺伝子を発見

2012.02.13

 公益財団法人「がん研究会」の竹内賢吾プロジェクトリーダーと、自治医科大学分子病態治療研究センターの間野博行教授らの共同研究グループは、肺がんの原因となる新たな6種類の融合遺伝子を発見し、英医学誌「ネイチャーメディシン」のオンライン速報版(12日付け)に発表した。有効な治療薬の開発につながるものと期待される。

 肺がんには、発症部位やがん細胞の大きさによっていろいろな種類がある。間野教授らは2007年に、ヒトの2番染色体にある2つの遺伝子が結びついた「EML4-ALK融合遺伝子」が、「肺腺がん」の原因となることを発見した。これは、細胞増殖をつかさどる酵素「チロシンキナーゼ」を作るALK遺伝子が、EML4遺伝子と融合することで活性化し、強力ながん化作用をもたらす「EML4-ALKキナーゼ」を産生することで肺腺がんを引き起こす。

 研究グループは、新たな活性型融合キナーゼを探すため、肺がん患者1500人の検体を詳しく調べた。その結果、2種類のRET融合キナーゼ遺伝子、4種類のROS1融合キナーゼ遺伝子を初めて発見した。さらに、マウスの実験で実際に肺がんを起こすことを確かめた。

 ALK肺がんに対する阻害剤は、間野教授らの遺伝子の発見から4年後には、米国で治療薬が販売されている。今回発見のRET肺がんについては海外で使われている甲状腺がんの治療薬が効果的だとみられている。

 なお今回の研究成果は、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業(研究加速課題「新規がん遺伝子同定プロジェクト」:2009-2014年)によって得られた。

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