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“絶滅”のミズナギドリが小笠原諸島に生き残っていた

2012.02.08

 北太平洋のミッドウェー諸島で1990年代初頭に観察されたのを最後に絶滅したとみられていた海鳥ミズナギドリの仲間「ブライアンズ・シアウォーター」(英名)が、世界自然遺産の小笠原諸島(東京都)に生息していることが分かった。森林総合研究所や山階鳥類研究所などの研究グループが7日明らかにした。絶滅とされた鳥類が再発見されたのは約60年前のアホウドリ以来のこと。研究成果はハワイ州オアフ島で開かれている第39回太平洋海鳥会議で8日(日本時間9日)発表される。

 ブライアンズ・シアウォーターは、全長25-30センチで、翼を広げた幅は55-60センチ。足が青色で、尾羽が長いのが特徴だ。1963年にミッドウェー諸島で採集され、保管されていた標本のDNA分析から新種と分かり、昨年この英名で発表された。しかし野生のものは、1990年代初頭に同じミッドウェー諸島で観察されて以降、20年間も姿が確認されておらず、すでに絶滅したとみられていた。

 研究グループは、小笠原諸島で1997年から昨年5月までに死体で発見され、あるいは一時保護された後に死んだ小型ミズナギドリの標本6体を調べた。ミトコンドリアDNAの分析の結果、6体全てがブライアンズ・シアウォーターのDNAと一致し、現在も小笠原諸島に生息していることが分かった。

 この鳥が小笠原諸島で発見されたのは12月から5月までの期間なので、冬に繁殖すると考えられる。冬場は小笠原諸島の海も荒れるので、研究者が無人島に渡るのも難しいことなどから、これまで発見が遅れたのではないかという。研究グループは、ブライアンズ・シアウォーターの和名を「オガサワラヒメミズナギドリ」とすることを提案している。

 今回の世界的な希少鳥類の再発見は、生物多様性の保全上からも有意義なことと考えられ、世界自然遺産に登録された小笠原諸島の生態系の価値をさらに高めることにもなりそうだ。

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