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生物多様性地域戦略策定は22都道府県だけ

2012.02.07

 環境省は6日、「生物多様性国家戦略2010」に盛り込まれた4つの基本戦略の目標達成状況を発表した。

 2万5千分の1の植生図整備が順調に進むなど目標に向けて着実な進展がある一方、「生物多様性地域戦略」を策定した都道府県が2011年6月時点で、22にとどまるなど目標達成率が遅れている取り組みもいくつか目につく。

 基本戦略「地球規模の視野を持って行動する」の中に盛り込まれた2万5千分の1の植生図は、今年3月までに60%まで整備するという目標が掲げられている。2010年3月から11年3月までに5ポイント達成率が上がり、55%と目標に近づいた。

 一方、基本戦略「生物多様性を社会に浸透させる」取り組みの一つである「生物多様性地域戦略策定」については、今年10月までに「47都道府県全てが策定に着手する」という目標が掲げられている。しかし、昨年7月時点でまだ22都道府県にとどまっており、目標を達成できない可能性が高い。

 また「地域における人と自然の関係を再構築する」基本戦略の取り組みの一つである未利用バイオマスの利用率は、2010年までに25%という目標に対し、09年3月から10年12月までに全く進展が見られず、17%の利用率のままだった。環境省は、効率的な収集システムが確立されていないことや、コスト面などで利用者のニーズに十分対応できていないことを理由に挙げている。

 基本戦略「森・里・川・海のつながりを確保する」に盛り込まれた「自然再生推進協議会の設置」も、2010年3月から11年7月までに上山高原自然再生協議会(兵庫県)と、三方五湖自然再生協議会(福井県)の2カ所が増えただけ。13年3月までに29カ所という目標に対してまだ23カ所にとどまっている。

 生物多様性国家戦略は、「生物の多様性に関する条約」に基づき、国の施策の目標と取り組みの方向を定めている。「生物多様性国家戦略2010」は、2008年に制定された生物多様性基本法に基づく初めての国家戦略として、10年3月に閣議決定された。100年先を見通した生物多様性から見た国土のグランドデザインを示すとともに、概ね2012年までに重点的に取り組むべき施策として4つの基本戦略を示している。

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