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日本の厳寒は北極の海氷減少が原因

2012.02.03

 地球の温暖化によって北極域の海氷が少なくなると、北極で発生した低気圧の進路が変わり、シベリア地方に寒気が入りやすくなることが、海洋研究開発機構の研究で分かった。日本の今冬の厳寒や大雪も、こうしたことが一因とみられる。

 同機構の研究チームは過去の気象データを解析し、欧州の北にあるバレンツ海を発生源とする冬の低気圧が通常ならばシベリア沿岸を東向きに進むのに対して、海氷が少ない冬は北極点方向に北向きに進む特徴を見つけた。そのために北極地方の気圧配置も変わり、シベリア地方に寒気が入り込みやすくなっていた。寒気は数日後には日本に到達し、厳しい寒さをもたらす。豪雪となった2005-6年冬も、同様な気象条件だったという。

 日本の気象の長期予報では、数値モデルにエルニーニョやラニーニャなどの低緯度地方の現象の影響や、北極など高緯度地方の影響を組み合わせている。しかし、バレンツ海などの海氷分布は平年値を利用しており、各年の海氷の多少はデータに加味されていなかった。今回の研究は、北極域での海氷の減少が中緯度地方の気候変動と密接に関連することを示したもので、さらに数値モデルの精度向上にもつながるものと期待される。

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