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サッカーにもハブ役存在 ただし固定せず

2012.01.04

 サッカーでは、ハブ空港のようにボールが集中する限られた選手を中心に三者関係を多くつくれるチームが試合を優勢に進めることが、名古屋大学総合保健体育科学センターの研究者たちによって明らかになった。

 山本裕二・名古屋大学総合保健体育科学センター 教授と横山慶子・日本学術振興会 特別研究員は、サッカーの試合でボールが選手の間をどのように移動するか、5分ごとに調べた。観察の対象としたのは、1対1で終わった2006年ワールドカップ決勝、イタリア−フランス戦と、同年のキリンカップ、日本対ガーナ戦(0対1)。それぞれ正味90分の試合中、コート上の22人の選手の中でハブつまり「司令塔」の役割を果たす選手がパスを多く出し、逆にボールにほとんど触れない多数の選手がいることが分かった。

 さらにハブとなる選手は、時間とともに変化していることも明らかになり、これはハブ役が固定していると、その選手が攻撃されてチームとしてうまく機能しなくなるためと考えられた。パスのネットワーク構造が柔軟かつ動的に変化していることを示しており、民間航空網やWEBのように限られた空港やサイトにハブ機能が固定しているのとは明らかに異なる、と研究チームは言っている。

 団体球技においてパス回しの中心になる選手がいることは、スポーツを知る者の常識となっている。例えばバスケットボールでは、名前からしてポイントガード(司令塔)というポジションがあり、9割方攻撃はこの選手のパスから始まる。ただし、11人からなるサッカーと異なり、1チーム5人で闘うバスケットボールでは、交代する選手も含めポイントガード役は固定されている。

 山本教授らは昨年10月、サッカーの基礎練習の一つである3対1(1人の防御に対し3人がパスを回す)の動きをビデオ映像で分析、「上級者は常に自分以外の2者との関係をある一定に保とうと動いているのに対し、初級者は自分以外のどちらか1人のみとの関係で動いている」という興味深い研究成果を発表している。

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