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日本学術会議が被災した子どもの感染症対策強化など提言

2011.09.28

 日本学術会議 臨床医学委員会 出生・発達分科会(委員長・五十嵐 隆・東京大学大学院医学系研究科 教授)は27日、「東日本大震災とその後の原発事故の影響から子どもを守るために」 と題する提言を公表した。

 提言は、「母子手帳がなくても予防接種の記録が残るようなシステムを構築する」など、被災地、避難した子どもが確実に予防接種を受けられる体制をつくることを求めている。また、被ばくした可能性がある子どもと胎児だった子どもの被ばく線量をモニターし、甲状腺がん・白血病に注目した検診を行うことと、保育士、教師、保健師、医師が協力して、子どもとその家族全体のこころのケアを行う体制をつくることも提言した。

 提言によると、3月に被災地区では国内の他地区では終息傾向にあったインフルエンザが再び流行した。また、同時期にノロウィルスによる急性胃腸炎の患者数も一部避難施設などで拡大している。しかし、被災地での感染症サーベイランスシステムが整備されてなく、母子手帳を失ったり、住所地から避難したため、定期予防接種を受けられない子どもが出ている。

 阪神・淡路大震災と比較した場合、被災地が広いのに小児人口が多くないため、予防接種を含めた感染予防対策が十分行き渡らない可能性がある。また被害が甚大で、復興に長い時間がかかるため、子どもたちの避難所あるいは仮設住宅または避難先における生活が長期にわたる可能性が高い。さらに放射線被ばくの問題が長期化し、広範な地域の人々が避難生活を余儀なくされている、という今回の被災の特徴を挙げ、子どもに対する感染症対策の重要性を強調している。

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