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酸化物高温超電導材で世界最高の磁場発生

2011.09.08

 物質・材料研究機構とジャパン スーパーコンダクタ テクノロジー社が、酸化物高温超電導材を用いたコイルで24.0テスラという世界最高の磁場を発生することに成功した。この磁石を核磁気共鳴装置(NMR)に用いると、装置を大幅に小型化できるとともに冷却に要する液体へリウムの使用量も少なくて済むという。

 物質・材料研究機構超伝導線材ユニット・マグネット開発グループの松本真治主任研究員らとジャパン スーパーコンダクタ テクノロジー社が用いた酸化物高温超電導材は、ガドニウム、バリウム、銅を含む酸化物「GdBCO」。松本主任研究員らは、株式会社フジクラ製のGdBCO薄膜線材(幅5ミリ、厚さ0.16ミリメートル)で、内径5センチ、外径11.2センチ、高さ8.8センチのコイルを製作した。これを金属系超電導材で作られたコイルの内側に組み入れることで、磁石の中心部で24.0テスラという最高の磁場を発生させることに成功した。これまで超電導磁石による磁場の最高記録は23.5テスラで、温度を約2K(Kは絶対温度)まで下げることが必要だったが、4.2K(セ氏約零下269度)で24.0テスラを発生できた。

 今回の成果は、科学技術振興機構の戦略的イノベーション創出推進プログラムの一環として得られた。

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