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東南海地震予想震源域で地震・津波観測監視システム本格稼働

2011.09.06

 数十年以内に発生するとみられる東南海地震をいち早くキャッチできると期待される「地震・津波観測監視システム(DONET)」が本格運用を開始、熊野灘の海底に設置された地震計の観測データが防災科学技術研究所と気象庁へリアルタイムで提供されるようになった。

 この監視システムは、三重県尾鷲市の陸上局から、紀伊半島の沖合約125キロ先にかけて総延長約250キロの基幹ケーブルをループ状に敷設し、途中5カ所の分岐装置にそれぞれ4つの観測点を接続している。水深約1,900-4,300メートルの海底に設置された観測点には地震計のほかに津波を検知するための水圧計が備えられている。水圧計の観測データも、いずれ防災科学技術研究所と気象庁へ提供される。

 システムを運用する海洋研究開発機構によると、もし東南海地震の震源(地震断層が動き始める地点)が熊野灘の潮岬から南東100-200キロ程度離れた海域の場合は、陸上で地震波を観測するより14-16秒程度早く検知でき、大きな揺れや津波の到来をいち早く知ることができる。震源が陸に近づくにつれ、地震発生を早く知る時間は短くなる。

 3月11日に起きた東北地方太平洋沖地震の発生は、地震学者たちにも大きな衝撃を与えた。福島沖から茨城沖までも含んだ広い海域で海溝型の巨大地震が起きることは、ごく一部の地質学者を除いて想定外だったためだ。それまでは、駿河湾から四国沖にかけて伸びる駿河トラフ−南海トラフ沿いに起きる海溝型巨大地震の方に関心が向いていた。特に駿河湾を震源域とする東海地震(マグニチュード8程度)の発生確率が最も高いという予測結果(30年以内の発生確率87%)を政府の地震調査研究推進本部が公表している。

 ただし、同本部が「海溝型地震の長期評価の概要」の中で「想定東海地震の震源域が単独で破壊した事例は知られていない」と記しているように、東海地震が単独で起きるとは必ずしも言えないとの見方もある。特に東北地方太平洋沖地震の起きた後は、連動型地震を心配する声が高まっている。東海地震が単独で起きるとするより、東南海地震、南海地震と連動して発生することを想定した対策をとるべきだという指摘だ。仮に連動型で発生した場合、地震断層が割れ始める場所(震源)がどこになるかは全く予想できず、東海地震、東南海地震、南海地震が、今回の東北地方太平洋沖地震と同様にほぼ同時に起きるのか、あるいは、数日ないし数年といった間隔を置いて連続的に起きるかを事前に予測することは困難とみられている。

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