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iPS細胞技術が米国でも特許に

2011.08.12

 山中伸弥・京都大学iPS細胞研究所(CiRA)所長(物質-細胞統合システム拠点教授)らが世界で初めて樹立した人工多能性幹細胞(iPS細胞)作製の基本技術に関して、米国で特許が成立したと、京都大学が11日発表した。

 iPS細胞の基本特許はすでに日本や欧州などで成立しており、創薬や再生医療などの研究開発分野で先進的な米国で特許が成立したことで、世界への影響力はさらに高まりそうだ。

 成立した特許は、京都大学が2006年12月にPCT国際出願し、さらに米国に移行出願していたもので、5日付けで特許査定が通知され、今後1〜2カ月程度で米国特許商標庁(USPTO)に登録される。特許の権利期間は2027年6月27日までと推定される。

 特許範囲は、今年5月に成立した欧州特許と同様に、体細胞に3種類の遺伝子、あるい22種類の遺伝子とある種のタンパク質(サイトカイン)の組み合わせを導入してiPS細胞を作る基本的技術。導入するためのベクター(運び役:ウイルスなど)の種類は問わず、導入する遺伝子についても、「Myc」ファミリーならば「c- Myc」も「L-Myc」も含むといった、「類似の構造をもつ遺伝子群(ファミリー)」も対象に含めた。しかし、欧州特許では遺伝子導入によって作られた産物にも権利が及ぶが、米国特許ではその産物までは範囲に含まれていないという。

 山中伸弥教授は京都大学を通じて、「iPS細胞の基本技術特許が、米国で成立したことに大きな喜びと安堵を感じています。私たち研究者は、一日も早い実用化を目指して研究を強力に推進すると同時に、引き続きiPS細胞関連の知財確保に注力してまいります」とのコメントを出した。

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