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アジア諸国とのエネルギー科学・技術連携強化提言

2011.08.03

 日本学術会議は、エネルギー科学・技術についてアジア諸国と協働して研究開発、事業展開を図ることが重要だとする報告をまとめ、2日公表した。

 「エネルギー科学・技術についてのアジア諸国との連携強化」と題する報告は、総合工学委員会「エネルギーと科学技術に関する分科会」がまとめた。エネルギー消費が急増する一方、石炭、バイオマス、太陽光などの資源に富むアジア諸国に対して、日本のエネルギーに関する科学・技術力を生かした協力を強めることがお互いの発展につながる、との考えに立つ。

 報告は、アジア諸国が求める技術が「日本や欧米の工業先進国で開発、普及されてきたものとは異質であることが多い」と指摘し、「日本のエネルギー科学・技術をベースに、それぞれの国、地域の状況に適した技術を開発することにより、海外展開で出遅れ感のある日本が優位に立てる可能性がある」としている。

 さらに「研究開発での協働は、市場の開拓、相互のリソースの有効活用、科学・技術の発展、共通技術基盤の構築と標準化、日本をよく知った相手国人材の育成、国際的に活躍できる日本人人材の育成につながり、永続的な共存共栄に資する」と双方にメリットがあることを強調している。アジア諸国との人的ネットワークの構築には、大学の役割が大きいことも指摘した。

 また、日本では大規模なエネルギーシステムに関する経験、技術をそれぞれ別の企業・機関が持っている現状を挙げ、「新規にインフラを整備しようとしている国に対して一体として提供できる体制を組む必要」を提言している。

 原子力や核融合についても連携の必要をうたっているが、福島第一原子力発電所事故がもたらした影響については「予断を許さず」としており、「日本が積み上げてきた技術とともに、今回経験した事故から学んだ教訓を含め、原子力の安全に関する知識や情報を提供し、連携の輪を広げて行くことが必須だ」としている。

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