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よりよい高齢社会目指しチーム医療の推進など提言

2011.07.22

 高齢社会をよりよいものとするには、医学だけでなく多くの専門分野が協働して高齢者の社会参加、社会貢献を可能とするシステムを開発し、推進することが必要だ、とする提言を日本学術会議がまとめ、21日公表した。

 「よりよい高齢社会の実現を目指して-老年学・老年医学の立場から-」と題する提言は、高齢者の中での要介護者が約13%にすぎないという現実と、今後それ程増加するものではないとの見通しを示し、「逆に、その数倍もの円熟した頭脳と豊富な経験を有する健やかな高齢者が増える事実に目を向けることが重要」と強調している。

 具体的には「老年学の推進と老年学・老年医学の学部・大学院・卒後教育での整備・充実」や、「各地域に高齢者医療センターを設置」を提言した。一方、「老年科専門医が今後急増する可能性は医師養成システムの現状を考えると少ない」という現実にも目を向け、一人の患者を中心にさまざまな医療専門職が複数でチームを形成し、相互に連携しながら自分の役割を発揮する「チーム医療」を推進する必要も提言している。

 さらに「急性期病院(発症間もない急性期の患者に、一定期間集中的な治療をするための病床を持つ病院)の在院日数の短縮をはかり、そこで働く医師の負担を軽減し、かつ住み慣れた自宅での生活を継続したいという多くの高齢者の希望を満たす」という理由から在宅医療の推進も提言した。

 国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、65歳以上の高齢者人口は2015年に26.0%となり、2055年には日本人の5人に2人が65歳以上という“超高齢社会”が訪れるのは確実とされている。

 提言は「高齢者にやさしい医療機器や、人手不足を解消するために多くの介護機器の開発において日本が優位に立つことで、雇用の創出と輸出の増加をもたらす日本のこれからの産業の一つの柱になりうる」と、日本が世界に先駆けて高齢社会を乗り切る意義を強調している。

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