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世界最短波長のX線レーザー発振に成功

2011.06.13

 理化学研究所と高輝度光科学研究センターは、X線自由電子レーザー施設「SACLA(サクラ)」で、世界一短い波長のX線レーザーを発振することに成功した。

 「SACLA(サクラ)」は、第3期科学技術基本計画の国家基幹技術の一つとして5年がかりで開発され、2月末にビーム運転を開始していた。今回、発振に成功したX線レーザーは、波長が1.2オングストローム(1オングストロームは1億分の1センチ)。X線自由電子レーザー施設の完成は米国のXFEL施設に先を越されたが、2009年4月に同施設が発生させた1.5オングストロームの最短波長記録を追い抜いた。

 X線自由電子レーザーは、1,000万分の1センチより小さな世界をフェムト(千兆分の1)秒で観察可能なことから、膜タンパク質の構造解析や、触媒が化学反応でどのような働きをしているかなど、従来のX線解析では困難ないし不可能だった原子や分子の世界の「機能」を直接観察する新しい強力な道具になると期待されている。

 今後、調整運転を行い、今年度内に国内外に開かれた施設として供用運転を開始する、と理化学研究所と高輝度光科学研究センターは言っている。

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