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色素増感高分子太陽電池の高効率化に成功

2011.05.13

 安価な次世代有機系太陽電池として期待されている色素増感高分子太陽電池の効率をさらに向上させる製法を、京都大学の研究者たちが見つけた。

 高分子太陽電池は、普及しているシリコン太陽電池に比べると発電効率は劣るものの、安く作製できるのが特徴。ただし、発電効率が8%以下と低いのが弱点になっている。色素増感高分子太陽電池は、色素を添加することで太陽光の約4割を占める近赤外光も吸収することができることから、エネルギー変換効率の向上が期待されている。

 大北英生・京都大学大学院工学研究科准教授らは、せっけんなどの界面活性剤が水と油の境界に自発的に集まる原理に着目した。添加した色素の効果が最も高くなるよう太陽電池を構成する高分子材料とフラーレン(サッカーボール状の炭素構造物)の境界に色素がうまく散らばる方法を見つけ出した。これは結晶化しやすい高分子材料と適切な色素を選ぶことで、自発的に太陽電池に適した構造が形成される利点がある。新しい色素増感高分子太陽電池の開発につながる成果だ、と大北准教授らは言っている。

 最も普及しているシリコン結晶太陽電池のエネルギー変換効率は20数%であるのに対し、有機系太陽電池は、低分子有機薄膜太陽電池、高分子太陽電池とも8%以下にとどまっている。色素増感高分子太陽電池は、発電効率を12%まで高めることが可能という。

 この研究成果は、科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業 個人型研究(さきがけ)研究領域「太陽光と光電変換機能」の一環として得られた。

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