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光で曲がる新高分子素材開発

2010.11.09

 紫外光を当てると反り返り、可視光を当てると元に戻る高分子素材の開発に理化学研究所の研究チームが成功した。

 光で動く人工筋肉や、電子を表から裏へ移動させやすい性質を利用した有機薄膜太陽電池など幅広い応用が期待されている。

 理化学研究所基幹研究所の相田卓三・機能性ソフトマテリアル研究グループリーダー、福島孝典・エネルギー変換研究チームリーダー、細野暢彦・研修生と播磨研究所の高田昌樹・主任研究員らは、まず光を感じて構造を変えることが知られているアゾベンゼン分子を組み込んだブラシ状のポリマーを設計、合成した。これをテフロンシートで挟み加熱しながらプレスするという簡単な方法で表から裏の同じ向きに分子が整然と並んだフィルムを作ることに成功した。

 このフィルムに紫外光を当てると湾曲し、可視光を当てると平らな状態に戻ることが確かめられた。

 これまで分子を同じ向きにそろえる技術はあったものの、大きさはナノレベルという微細なものでしかなかった。今回の技術は1センチから1メートルという大きな面積のフィルムを作れるのが大きな特徴。有機薄膜太陽電池などの有機デバイス開発だけでなく有機材料科学分野全体への大きな波及効果や、光で収縮・膨張を繰り返す新たな人工筋肉材料への応用が見込まれる、と研究チームは言っている。

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