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効率よく太陽光捕集する高分子システム

2010.05.17

 太陽エネルギーを効率よく高分子化合物に取り込み、さらにそのエネルギーを目的の場所にすんなり移動させることができる光捕集システムを、自然科学研究機構分子科学研究所の研究チームが作り出した。

 地球に到達する太陽エネルギーは膨大な量だが、密度が希薄なため、いかに効率よく取り込めるかが、太陽エネルギー利用拡大の鍵の一つとなっている。

 分子科学研究所の江東林(チャン・ドンリン)准教授らが開発したシステムは、多孔性共役高分子を合成し、その内部にクマリン6という色素を入れ込んだ構造をしている。多孔性共役高分子は電子が分子全体に広がった構造をしており、かつ巨大な表面積を持つ。光エネルギーを効率よく取り込み、さらに捕集された光エネルギーを高分子の内部のクマリン6に容易に運搬することができる。

 これまで、太陽エネルギーをうまく取り込む分子システムはいろいろ研究されているが、捕集したエネルギーを望む場所まで移動させることが難しかった。新しく開発されたシステムはエネルギーの移動効率が90%に達し、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する重要な基礎技術として期待できる、と研究チームは言っている。

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