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OECDが一貫性のある環境政策勧告

2010.05.07

 経済協力開発機構(OECD)が日本の環境政策の取り組み状況を審査した「対日環境保全成果審査 評価と勧告」が4日、パリのOECD本部で開かれた会合で承認された。低炭素経済や健全な物質循環、自然との共生を目指す日本の政策に一定の評価を示す一方、「持続可能な発展に関する政府の施策をとりまとめる具体的な組織は存在していない」と厳しい見方も示している。

 環境省によると、OECDによる評価は、各国の環境保全に関する取り組みを審査し、必要な勧告を行うもので、勧告は法的な義務を課すわけではなく、環境政策の進展を支援するのが狙い。今回の日本に対する審査は、韓国、ドイツ、ノルウェーが審査国になり昨年3月から始まり、最終的に4日の環境政策委員会・環境政策評価作業部会での議論を経て承認された。昨年7月には3審査国とOECD事務局の担当者からなる審査団が来日して、関係者からヒヤリングを行っている。

 評価と勧告は環境政策の多岐にわたっている。各省が独自の政策を進めがちな日本の現状もしっかりと見ており、「政府のすべてのレベルにおいて、分野別政策および環境政策の効果的かつ一貫性のある統合を確保するため、組織間での協力を強化すること」と厳しく勧告されている。

 「グリーン化」刺激策に対しては、「自動車産業や農業生産を支援し、高速道路料金を割り引くなど環境にマイナス影響を及ぼし競争をゆがめかねない施策を含んでいる」などと評価したうえで、「環境関連の税の利用拡大、反環境的効果を持つか汚染者負担原則に矛盾するインセンティブや補助金の削減を視野に入れ、2011 年の税制改正で環境配慮を中心に据える」など、環境政策全般にわたり、具体的な勧告が数多く含まれている。

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