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J-PARC世界最強度のミュオン発生

2010.03.16

 茨城県東海村の大強度陽子加速器施設(J-PARC)が世界最強度のパルスミュオン発生に成功した。
J-PARCは、さまざまな粒子を利用して多様な研究開発を行うことができる多目的加速器として内外から注目されている。ミュオンは、中性子、ニュートリノ、中間子とともに加速器からつくられる2次粒子の一つ。

 J-PARCセンターによると、昨年12月に行った陽子ビーム高出力運転の測定データを調べたところ、物質・生命科学実験施設・ミュオン実験装置から、これまで最高だった英国のミュオン実験施設で得られた1パルス当たり約3万個を上回る18万個のパルスミュオンが発生していたことを確認した。

 ミュオンは、湯川秀樹博士が存在を予言したパイ中間子が崩壊してできる寿命の短い不安定な素粒子。J-PARC では光速近くまで加速した陽子ビームを黒鉛の標的に照射してパイ中間子をつくり出し、さらにそのパイ中間子からミュオンを発生することができる。

 今後、強力なミュオンビームを利用し、物理学の基礎的研究のほか磁性材料、超電導材料、燃料電池材料などさまざまな応用分野、産業の発展につながる物質・生命科学研究の成果が期待されている。

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