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フラーレンで次世代情報素子実現の可能性

2010.03.05

 さまざまな応用が期待されているフラーレンのひとつC60が超高密度のデジタル情報を書き込み、書き変え、読み出しできる次世代情報素子になり得る方法を物質・材料研究機構の研究チームが開発した。現在実用化されている高密度情報蓄積技術に比べ約1,000倍、基礎研究レベルの技術と比べても10倍以上の超高密度デジタル情報を蓄積できる、と研究チームは言っている。

 物質・材料研究機構国際ナノアーキテクトニクス研究拠点の中山知信グループリーダー、中谷真人研究員、大阪大学大学院工学研究科の桑原裕司教授らが開発した方法は、C60分子へ電圧をかけたり、切ったりすることでC60分子同士が化学結合したり、結合が解消されたりする性質を利用している。シリコンないしグラファイトの基板上にC60の超薄膜を形成、とがった金属針を接近させて電圧をかけたり、切ったりすることで、デジタル情報が蓄積できることを確かめた。

 現在、最も普及している記録素子であるハードディスクドライブ(HDD)の蓄積密度は、1平方インチあたり約300ギガビット。研究グループは1平方インチあたり190テラビット(テラは1,000ギガ)の超高密度デジタル情報を記録、消去、再記録させることに成功している。この動作が室温でできるのも長所だ。

 現在、1秒あたり約1キロビットの動作速度を高速化させることが今後の課題、と研究グループは言っている。

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