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水温調節で雄性化したトラフグの白子食卓へ

2010.01.14

 稚魚を冷たい海水で養殖するだけで8割以上を雄にする技術を近畿大学水産研究所の研究者たちが開発した。この技術で雄性化したトラフグから採れる白子を盛り込んだトラフグセット商品を富山県の漁業協同組合と共同で開発し、フグ鍋のシーズンが始まる11月ごろ全国向けに発売する予定という。

 トラフグ雄性化に成功したのは、クロマグロの養殖でも知られる澤田好史教授らの研究チーム。高い価格で売れる白子が採れるオスを増やすことでトラフグ養殖の付加価値を高める研究に、10年以上前から取り組んでいる。トラフグはふ化後2-6カ月の間に性別が確定するが、稚魚のふ化後15-79日の期間を含む65-105日間、12-17℃の海水温で飼育すると80%以上が雄になることを突き止めた。

 澤田教授らは、近畿大学水産研究所の富山実験場で研究を進めているが、12−17℃の海水温条件を確保するため富山湾の水深100メートルからくみ上げた海水を利用することでコストを抑えることにも成功した。

 今後は、低水温飼育中に通常の10%程度に遅くなってしまう成長速度を速める工夫に加え、水温の低い海水を使用するとなぜ雄性化が促進されるのかの解明を目指し、雄性化の割合を100%に高める方法も開発したい、と澤田教授らは言っている。

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